実生活でストレスを受けているときには、FacebookなどのSNSでつながる友だちの投稿が慰めになることも。気持ちが落ち込んでいるときなどに、励ましの言葉をかけてもらったりすると、ほっとすることもあるでしょう。ただ、リアルのサポートがないままだと、SNS依存の恐れも。ドイツからそんな問題を指摘する報告が出されています。
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SNSの影響とは?
SNSのサービスは次々と誕生しては衰退していくので、めまぐるしく変化しています。そんな変化はありつつも利用している人が着実に増えているのは確かでしょう。総務省の調査によると、日本において2016年の段階でFacebookを利用している人は32.3%、Twitterを利用している人は27.5%。それぞれのサービスの利用者は年々増えています。
SNSをめぐっては、炎上など社会問題を引き起こすこともあり、生活に悪影響を与えているのではという指摘が出てくることもあります。
このたびSNSの利用とストレスとの関係について調べたのが、ドイツ、ボーフム大学の研究グループです。対象となったのはFacebookのユーザーで、学生を中心とした309人(平均年齢24歳)。学生を選んだのはストレスを感じる機会が多いという想定から。学生は家族と離れて暮らすことも多く、新たな人間関係を築きながら、学業で成績を上げる必要があるためです。調べたのは、Facebookの使用状況のほか、実生活やインターネット上でサポートを受けるような機会があるか、ストレスをどれくらい感じるかなど。SNS利用とストレスとの関係などが分析されました。
ストレスが大きいほどFacebookをよく利用するように
わかったのは、やはりストレスが大きいほどに、Facebookをよく利用しているという実態。ストレスを軽くしようと、SNSでつらい気持ちを軽くしようとしているのかもしれません。ときどき見る程度ならいいですが、やりすぎは問題です。研究グループは、病的なSNS中毒になる可能性も指摘しています。
救いになるのは、リアルでのサポートがある場合。ストレスが大きくても、リアルなつながりで気をまぎらわすことができる人は、Facebookをそれほど使わないとわかったのです。逆に、リアルなサポートがないときには、SNS中毒に陥りやすくなっていました。研究グループによると、注意すべき中毒症状は、「Facebookの使用時間が次第に長くなる」「いつもFacebookにアクセスしていて、アクセスできないと不安になる」といったもの。こうした行動をしていると思ったときには、「ストレスがたまっているのでは」と気をつけるとよいかもしれません。
またFacebookをよく使っている人は、ストレスに対するサポートもネットで受けていることが多いようです。相談するにもネットだと、SNS中毒の可能性があるわけです。視点を変えて、リアルな場で相談をすることを考えてもよいのかもしれません。メンタルの健康を守ることにつながる可能性もありそうです。
<参考文献>
総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc111130.html
How stress leads to Facebook addiction
https://news.rub.de/english/press-releases/2019-05-28-psychology-how-stress-leads-facebook-addiction
Psychiatry Res. 2019 Jun;276:167-174. doi: 10.1016/j.psychres.2019.05.014. Epub 2019 May 9.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31096147