疲れたときに、大切なのはゆっくり休むこと。特にしっかりと睡眠をとると、体が回復し、精神的にも元気を取り戻すことができるものです。でもいつの間にか、いびきをかいているとしたら気をつけるとよいかもしれません。呼吸がうまくできていない可能性があり、睡眠障害はなんと老化とも関係する可能性があるというのです。
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日常的にいびきをかく人はおよそ1割
日本人を対象とした研究では、「いつもいびきをかいてしまう人」について名古屋大学を中心にした研究グループの報告があります。同グループは病院の外来を受診した6446人を対象にアンケートを実施。睡眠に関連した問題を聞き取り、その中でいびきについても確認しています。いびきをかいていると回答した人は男性では16.0%、女性では6.5%でした。いびきをかいている人は、夜中に目が覚めてしまう悩みを抱えている人が多いとわかりました。
なかなか自分でいびきをかいているとは気がつかず、言われてはじめて気がつくという人もいるでしょうが、寝ている間に呼吸が止まってしまっていることもあり要注意。このたび米国ハーバード大学の研究グループが、睡眠障害がある場合の悪影響について報告しています。
睡眠障害の影響がDNAに現れる
研究グループが睡眠障害の影響として注目したのは、人体の設計図と呼ばれる「DNA」の変化です。研究グループは睡眠障害や夜中に起きてしまう回数と、老化に関係していると考えられている「DNAメチル化」の状態との関係を調査したのです。DNAのメチル化は、命を維持するためのたんぱく質に関係しており、最近までの研究から、老化の程度がわかるといいます。
622人を対象に調べたところ、寝ている間の睡眠障害の程度が大きいほど、確かにこのDNAメチル化の変化が見られて、老化も進んでいることが確認できました。眠っている間に起きてしまう回数も悪影響を及ぼすという結果です。いずれについても男性よりも女性のほうが、影響は大きく現れていました。
研究グループは、同じ時間を過ごしていても、老化しやすい人がいるが、その背景に睡眠障害が隠れている可能性があると注意を促し、治療の必要性があると指摘します。睡眠障害は気がつかないこともありますが、DNAまで影響を受けるとすると、見過ごせないところ。よく寝られず夜中に起きてしまっていたり、いびきをかいているなどと言われたりしたときは、クリニックに相談してみてもいいかもしれません。
<参考文献>
Psychiatry Clin Neurosci. 2000 Aug;54(4):385-91.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10997853
0291 Sleep Disordered Breathing Associated with Epigenetic Age Acceleration: Evidence from the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis
https://academic.oup.com/sleep/article-abstract/42/Supplement_1/A118/5451843
Study links sleep-disordered breathing to age acceleration
https://aasm.org/sleep-disordered-breathing-age-acceleration/