睡眠時間が不規則だったり、短かったりすると、ダイエットの妨げになってしまうという研究結果がスペインから報告されました。減量に取り組んでいる人で、睡眠の質がダイエットの効果にどう影響するかを分析。すると、睡眠時間が6時間未満の人や不規則な人は、体重と体脂肪も減りにくいことがわかったのです。
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1年後の減量効果を比べたところ
総務省の「社会生活基本調査」によると、日本人の睡眠時間はおおよそ7時間40分です。これはあくまで平均ですから、これと比べると全然寝ていないという人もいれば、十分眠れているという人までさまざまなはず。中には、日によってまったく眠る時間はばらばらだという人もいるかもしれません。しかし、睡眠は健康にとっても大切であるのは年々はっきりとしてきています。
今回、スペインのロビラ・イ・ビルジリ大学を中心とした研究グループが、減量プログラムの効果を調べている大規模な研究の一環として、睡眠の状態がダイエットにどんな影響を与えるかを調べています。
この研究では、参加者が2つのグループに分けられて、ダイエットの効果が調べられています。ひとつのグループは、低カロリーの地中海食と運動に取り組み、しかも行動セラピーを受けます。それに対して、もう一方のグループはそうした食事や運動などは特にやらなくてもよく、行動セラピーも受けません。そうして6年以上追跡して比べるというものです。
今回は、この研究の参加者のうち減量プログラムに取り組んでいる1986人を選んで、睡眠の質について調べました。その上で、体重、BMI、ウエストの変化に関連性があるかどうか、1年間のデータを分析したのです。
ウエストの変化にまで影響
ここからわかったのは、冒頭で紹介した通り、睡眠の質が悪いと、ダイエット効果に悪く響くということです。
まず、睡眠時間が日によって大きく変わるような、睡眠時間が不規則な人の場合、一定している人に比べて、1年間の体重の変化が少なくなっていました。平均すると0.5 kgという小さな差ではありますが、明確な差として現れてきたのです。
また、BMIの減少も小さくとどまっていました。その差は平均0.2。さらに睡眠時間が6時間より短い人は、7〜9時間の人に比べてウエストの減り方が0.8 cm少ない結果に。つまり、睡眠の質が悪い人は体重、BMI、ウエストいずれもダイエットの効果が出にくい結果となったのです。
ダイエットの効果の差は大きくはありませんが、減量プログラムにしっかり取り組んでいる人での差です。ダイエットを成功させるには小さな積み重ねが大切と考えれば、無視できない差と考えられるかもしれません。ダイエットに取り組むときには、睡眠にも配慮するのはよいことといえそうです。
<参考文献>
Short sleep duration and sleep variability blunt weight loss
http://diaridigital.urv.cat/en/short-sleep-duration-and-sleep-variability-blunt-weight-loss/
Int J Obes (Lond). 2019 Jun 19. doi: 10.1038/s41366-019-0401-5. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31217539
文/星良孝