ウォーキングは身近なエクササイズ。ジムに通ったりマラソンに取り組んだりするのはおっくうでも、少しの時間を見つけて歩くことはそんなにハードルは高くはありません。このたび、歩数計を使った12週間のウォーキングプログラムに参加してもらった効果を調べたところ、運動が習慣になる人が増えたことが判明。しかも、さまざまな病気になりにくくなることもわかりました。
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運動量で病気への影響を調査
日本で2017年度に行われたスポーツ庁のアンケートによると、男性でも、女性でも、1年間に行った運動の中でもっとも多いのはウォーキング。それだけ身近に取り組みやすいということでしょう。運動をするとさまざまな病気を防ぐことができるのは、世界的にも証明されており、毎日30~40分ほどの運動がよいだとか、1日7500歩歩くとよいだとか、研究結果が次々と報告されています。
今回、英国ロンドン大学などの研究グループは、ウォーキングの運動におよそ3か月間参加した人のその後について調べています。
この研究グループは、過去に12週間のウォーキングプログラムに取り組んでもらう研究を行ってきました。これまでに12週間のウォーキングプログラムに取り組んでいた人には、3~4年間にわたって運動の習慣が保たれていることが確認されていましたが、さらに、このたび心臓発作や脳卒中、糖尿病、骨折、うつ病などの病気への影響も含めて分析を行ったのです。
差が見られたのは心臓や骨折など
これまでの分析でわかったのは、ウォーキングプログラムに参加した人では、心臓発作、脳卒中などになる可能性が7割も低くなるということです。さらに、骨折する可能性もほぼ半減していました。一方、糖尿病やうつ病についても調べていますが、ウォーキングはこちらの病気を減らすような効果は確認されませんでした。
ウォーキングに一度取り組むだけで、その後の病気が大きく減らせるのは大きな発見だと、研究グループも驚く結果です。
ウォーキングは、手軽な運動だからとあなどらず、取り組んでみると、健康にとって思わぬメリットを得ることができるのかもしれません。
<参考文献>
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https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002836
Increased walking activity associated with long-term health benefits
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/p-iwa061819.php
Study finds increase in step-count leads to long term health benefits
https://www.qmul.ac.uk/media/news/2019/smd/study-finds-increase-in-step-count-leads-to-long-term-health-benefits-.html
PLoS Med. 2017 Jan 3;14(1):e1002210. doi: 10.1371/journal.pmed.1002210. eCollection 2017 Jan.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28045890
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002210
PLoS Med. 2015 Feb 17;12(2):e1001783. doi: 10.1371/journal.pmed.1001783. eCollection 2015 Feb.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25689364
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1001783
PLoS Med. 2018 Mar 9;15(3):e1002526. doi: 10.1371/journal.pmed.1002526. eCollection 2018 Mar.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29522529
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1002526
文/星良孝