日本人は長寿で有名ですが、和食を食べていると「健康に」長生きできるかもしれないという報告がありました。日本の高齢者1万人近くを調べた東北大学の研究によると、ごはん、みそ汁、魚介類、緑黄色野菜、海藻、漬け物、緑茶を多くとり、牛肉、豚肉が少ないと、健康的に暮らせる期間が長くなるようです。
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9品目の「和食指数」で評価
加工食品が多い食事など、特定パターンの食事がいろいろな病気につながることはよく知られていますが、健康に長生きできる食事パターンについてはあまりわかっていません。なお、こうした障害のない健康な状態が続くことを無障害生存期間が長くなるといいます。
日本人は男女ともに寿命が長いことはよく知られていることでしょう。日本の食習慣(和食)もひとつの要因ではないかと考えられています。
そこで東北大学の研究グループは、ある地域住民の観察研究に参加した日本人高齢者(65歳以上)9456人の10年間の追跡データを使って、食習慣と無障害生存期間との関連性を調べました。
食習慣の評価には食品摂取頻度アンケートの回答を使い、以前の諸研究に基づいて9品目の食品から「和食指数(JDI)」を計算で割り出しました。
7品目(ごはん、みそ汁、魚介類、緑黄色野菜、海藻、漬け物、緑茶)は摂取量が中央値以上であれば1点、それ以外は0点とし、2品目(牛肉/豚肉、コーヒー)は摂取量が中央値以上であれば0点、それ以外は1点としました。
和食指数が高いほど健康に長生き
追跡期間中に、4233件の障害または死亡が発生しました。わかったのは、和食のスコアが高いほど、こうした危険性が低くなるということです。
分析の結果、「JDIスコア」が高いと、無障害生存期間が長くなるとわかりました。1ポイント上がるごとに3.7か月長くなるというので、その変化は小さくないといえそうです。
コーヒーを除いた8品目のスコアで分析すると、差はもっと大きくなりました。この違いがなぜ出るかを考えると、コーヒーは飲んだほうがよいといえる可能性があります。
なお、こうした和食の結果に男女差はなく、もともと慢性疾患があったかどうかも関係しませんでした。
「和食をとっていると健康に長生きできるのではないか」と研究グループは結論しています。健康を考えると、和食をできるだけ選ぶようにするのがよいのかもしれません。
<参考文献>
The Journal of Nutrition 2019;149:1245-1251.
https://academic.oup.com/jn/article-abstract/149/7/1245/5487581?redirectedFrom=fulltext
A Japanese dietary pattern promotes healthy aging
https://nutrition.org/a-japanese-dietary-pattern-promotes-healthy-aging/
文/星良孝