多くの女性を悩ませている生理痛。痛いのに運動とは意外ですが、ランニングマシンを使った有酸素運動を続けると痛みが軽くなり、7か月後も効果が続くという研究結果がニュージーランドから報告されました。QOLや毎日の活力もアップするそうです。有酸素運動は月経前症候群(PMS)による肩こりに効くという話もある中、注目されそうです。
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半数以上の若い女性が生理痛に悩む
個人差こそあれ、生理痛がひどいという人にとっては本当につらいもの。アメリカでの2012年の研究によると女性のおよそ59%が生理痛に悩まされ、そのうち2割の人では日常生活にも影響が出ているそうです。
別の研究によると、若い女性で生理痛の問題を抱えているのはなんと84%にのぼり、半数以上が痛み止めを飲まなければならず、4割くらいの人が痛みのせいで人づき合いもおろそかになっているといいます。
日本でも、日本医療政策機構の「働く女性の健康増進に関する調査」から、生理痛のために仕事のパフォーマンスが半減していると回答した人が、働いている女性の半数にも上ることがわかっています。
これまでの研究によると、生理痛を軽くするために有効とみなされているのは、一般的な鎮痛薬くらい。治療手段は限られているのです。
このたびニュージーランドの研究グループが着目した方法は、ランニングマシンを使った有酸素運動でした。運動することで、生理痛を軽くできる可能性を考えたのです。
対象となったのは、10代から40代までの生理痛のある女性70人。対象の女性は、2つのグループに分けて、一方のグループは4週間にわたってランニングマシンを使った有酸素運動に取り組んでもらいました。週に3回、生理が終わった翌日から取り組んでもらいます。最初はトレーナーと一緒にやるのですが、その後6か月間については自宅でトレーナーがつき添わずに続けてもらいました。もう一方のグループは運動をせずに、症状を軽くする一般的な治療をしてもらいます。
こうして痛みの強さの変化に加えて、QOLや毎日の活動の能力、睡眠も調べました。
運動は生理痛の緩和に効果あり
調査の結果、わかったのは、ランニングマシンを使った運動によって、生理痛が軽くなるということです。有酸素運動を続けたグループは、4週間後に痛みが6%軽くなったのですが、それから6か月後には22%緩和するという結果になりました。
そうした効果は、痛みばかりではなく、この7か月間はQOLと毎日の活動の能力もよくなっていました。ただ、睡眠の質への影響は確認されませんでした。
この結果から研究グループは、全体的に「この運動は生理に伴う痛み、QOL、毎日の活動能力に効果がある」と結論づけています。
さらに、研究グループは「生理痛があるとたいていは運動を避けます。痛みがあるときには運動なんてしたくありませんよね」と指摘。その上で、「でも今回の試験では、運動をした人で痛みが軽くなり、7か月後のQOLの改善も注目に値するもの」と解説。有酸素運動は効果的だと見ています。痛みに悩む人は、運動に取り組んでみることを考えてもよいのかもしれません。
<参考文献>
日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査2018」
https://hgpi.org/research/809.html
Contemp Clin Trials. 2019 Jun;81:80-86. doi: 10.1016/j.cct.2019.05.004. Epub 2019 May 7.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31071464
文/星良孝