睡眠中に気道が何回もふさがれてしまう「閉塞性睡眠時無呼吸」。日中の眠気や疲労感などさまざまな影響が現れますが、この病気だと気づいていない人は仕事の面でも損をしているかもしれません。最近の米国の研究によると、睡眠時無呼吸ではない人に比べて、何度も失職している確率が2倍以上なのだそう。
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実際に失職した人の研究データを利用
「睡眠時無呼吸症候群」については、夜中に目が覚めてしまう原因のひとつとして紹介されていますが、空気の通り道である上気道が狭くなって呼吸が止まってしまうので「閉塞性」睡眠時無呼吸(症候群)とも呼ばれます(「中枢性」というタイプもありますが、こちらは脳の異常により起こるもので全体の数%。閉塞性のケースが一般的です)。
この閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気や心身の機能障害といった影響が現れるため、失職につながりやすいのではないかと、米国アリゾナ大学などの研究グループは考えました。そこで、最近失職した人を対象として失職が日々の生活にどのような影響を与えるかを調べているアメリカの研究「ADAPT研究」のデータを使って、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と失職との関連性を調べました。
4割が軽い睡眠時無呼吸
ADAPT研究の参加者から、職歴や睡眠検査の情報を得られている261人のデータを利用し、そのうち女性が6割。給与ではなく時給で賃金を受けていたのは7割。半数弱に複数回の失職歴がありました。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群かどうかは、自宅での睡眠検査の結果で評価し、4割が少なくとも軽度の睡眠時無呼吸でした。
結果として、睡眠時無呼吸がある人は、何回も失職する確率が高くなるとわかりました。中〜重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人は、その可能性が2倍以上高くなることも判明。睡眠の状態が、失職につながっている可能性があるといえそうです。
また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は肥満との関連がある可能性も否定できないそうです。
いびきが大きいなどと言われて、睡眠時に呼吸が停止してしまう状態になっている可能性がある人は、仕事の面を考えても早めに対処するのがよいのかもしれません。
<参考文献>
0484 Individuals with Obstructive Sleep Apnea have Higher Likelihood of Multiple Involuntary, Job Losses
https://academic.oup.com/sleep/article-abstract/42/Supplement_1/A194/5451423
Adults with sleep apnea are more likely to experience involuntary job loss
https://aasm.org/sleep-apnea-job-loss/
文/星良孝