お腹の悩みの中でも多いもののひとつが、膨満感(いわゆるお腹の張り、ぽっこりお腹)かもしれません。健康によい食物繊維も原因になることがあるとされており、どうしたらよいのか困ったもの。このたび米国の研究で、食べ物の塩分の量が多いのも原因のひとつになることがわかりました。食物繊維をとっても、塩分を減らせば、膨満感が生じにくくなる可能性があるようです。
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ぽっこりお腹に悩む人は少なくない
日本女性の3割が日常的な腹部膨満感を感じているとされています。米国でも膨満感を訴える人は多く、最大に見積もって成人の3分の1、過敏性腸症候群の人では90%が、お腹の張りに悩まされているそう。
膨満感が起こるのは、腸内にガスが過剰にたまっているせいです。原因はいろいろありますが、大腸でしか分解されない食物繊維のとり過ぎもそのひとつです。腸内細菌が食物繊維を分解する際にガスが発生しますが、それが過剰になってしまうのです。さらに、塩分が膨満感につながるという証拠も出ているようです
そこで、米国ジョンズ・ホプキンス医科大学などの研究グループは、この2つの成分、食物繊維と塩分が膨満感に与える影響を調べました。
研究グループが調べたデータは、米国立心肺血液研究所(NHLBI)による「高血圧予防食(DASH食)」の効果を調べた研究のもの。塩分を抑えて、脂肪分が少なく、野菜や果物が多めのDASH食(食物繊維32 g/日)と、米国人のふつうの食事(11 g/日)の効果を比べています。それぞれ30日ごとに塩分の量を変えて(3段階)、高血圧への影響を調べており、ここから膨満感のデータを分析しました。
食物繊維の影響は男性で大きい
今回の研究では、412人の研究参加者のうち、腹部膨満感があったのは36.7%でした。
食物繊維の多いDASH食のグループでは、ふつうの食事のグループに比べると、膨満感が起こる可能性は41%高くなっていました。影響が出やすいのは、女性よりも男性ということもわかりました。
研究で注目した塩分との関係でいえば、塩分量が高いと、塩分量が低いときよりも27%も膨満感が出やすくなっていました。
研究グループは、健康によい食物繊維が多いと確かに膨満感が生じやすくなるので、その分、塩分を減らすのが大切ではと指摘しています。
お腹がぽっこりして困るときには、塩分控えめを心がけるとよいのかもしれません。
<参考文献>
Am J Gastroenterol. 2019 Jul;114(7):1109-1115. doi: 10.14309/ajg.0000000000000283.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31206400
Higher salt intake can cause gastrointestinal bloating
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/06/190627143931.htm
文/星良孝