一般的に飲まれているお茶といえば緑茶。口にするとほっとひと息つけますが、最近は、習慣的に飲む人は病気が少ない傾向が見られるなど、健康面の効果も注目されています。確かに、含まれている成分には、遺伝子の突然変異を抑えたり、抗酸化作用があったりと、健康によいものも多く含まれます。最近の研究によると、緑茶を飲む人は、飲まない人よりも、乳がんを発症するリスクが低下する可能性もあるようです。
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緑茶が乳がんを予防するの?
緑茶をめぐっては、日本の国立がん研究センターが2015年に緑茶を飲むことと死亡やがんをはじめとした病気との関係について発表して大きく注目されました。1日1杯未満だけ飲む人を基準に比べたところ、飲む量が増えるほど死亡リスクが減少。毎日5杯以上飲む人は、男性だと13%、女性だと17%死亡リスクが低いとわかったのです。その背景には、心臓疾患や脳血管疾患などが減ることがあることも分析からわかりました。
こうした研究をはじめ、これまで緑茶の健康効果に関する研究は数多く行われてきており、緑茶に秘められた健康パワーが次々と明らかになっています。そうした中で、最近では、緑茶による乳がんの発症予防効果の可能性も注目されています。このたび中国、西安交通大学の研究グループがこれまでに行われた研究結果を分析し発表しました。緑茶には乳がんの発症を抑える効果があるのでしょうか?
緑茶をたくさん飲む人は乳がんの発症リスクが低くなる!
研究グループは、これまでに報告された緑茶摂取量と乳がん発生率の関連について書かれた研究論文を検証したうえで、14の研究を見直しました。対象者数は乳がん患者1万4058人と健常者1万5043人にも上ります。
そしてわかったのは、研究間の結果にばらつきがあるものの、緑茶を飲む習慣があると、乳がんの発生率が減るという関係性があるということでした。17%のリスクの減少が確認されました。
研究グループによると、関係性についてはさらに詳しく調べる必要があるものの、これまでの研究を見ただけでも、緑茶には乳がんの発症リスクを低下させる可能性がありそうだといいます。
ほかの病気を減らすような研究もありますから、ふだんから緑茶を飲むのはよいことといえそうです。
<参考文献>
国立がん研究センター「緑茶摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3526.html
Medicine (Baltimore). 2019 Jul;98(27):e16147. doi: 10.1097/MD.0000000000016147.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31277115
文/星良孝