チョコレートに目がないという人も多いはず。ひとかけ口にするだけで、その甘さによって心の緊張もほぐれていくように感じられます。この代表的なスイーツは美味というばかりではなく、健康によい効果があるという点も注目されています。こうしたなか、研究報告が増えているのが、心臓病を防ぐ効果です。
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10万人分を超えるデータから分析
チョコレートが効果を発揮しそうなのは、心臓の働きが弱くなってしまう「心不全」という病気です。心不全になると、心臓の心拍を強く感じたり、息切れ、呼吸困難、疲労感、むくみなどの症状が現れたりすることがあります。
心不全になっている人は、世界中で2000万人と推定され、2030年には25%の増加が予想されるため、予防がとても大切。チョコレートの原料になるカカオに含まれているフラボノイドは、心臓と血管の健康につながるとして研究が進んでいます。
中国の武漢大学の研究グループが、過去の研究から10万人分を超えるデータを分析して、チョコレートを食べることによる、心不全への効果について分析しました。板チョコ1枚分に当たる50gを1回分として、食べる量が週に7回分未満の人は低~中程度の摂取量、7回分以上の人は高摂取量として、心不全との関連性を調べています。
週150g程度で最もリスクが低下
確認したのは、チョコレートを食べる人には心不全が少ない傾向があること。研究グループは最終的に5件の研究から、合計10万6109人分のデータを分析。心不全のリスクは、チョコレートをまったく食べない人と比べて、低〜中程度の摂取量の人で14%下がることを確認しました。さらに高摂取量の人では6%の低下とあまり下がりませんでした。
さらに詳しく見ると、心不全のリスクは、摂取量が多くなるほど下がるのではありません。チョコレートをまったく食べない場合と比べて、週に1回分の摂取量で8%、3回分では14%、7回分では7%低下。逆に、週に10回分の摂取量ではリスクが7%増えていたのです。
研究グループは、チョコレートを適度に食べると心不全のリスクが下がる可能性があると結論。チョコレートのタイプやカロリーとの関連については今回の研究では問われていないので、あまり甘いチョコレートばかりを食べれば逆に健康への効果は薄れる可能性もありそうです。
とはいえ、チョコレート、またはカカオを食べることで、何らかの健康によい効果が得られる可能性が示唆されました。
<参考文献>
Nutrients. 2017 Apr 20;9(4). pii: E402. doi: 10.3390/nu9040402.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28425931
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5409741/