皆さんは毎日何時間眠っていますか? やりたいことややらなくてはいけないことが多く、ついつい削る時間のプライオリティが睡眠時間になっている人も少なくないと思います。しかし、慢性的な睡眠不足は免疫機能を落とすことがこれまでのさまざまな研究から明らかになっているのです。
今日は睡眠コンサルタントの友野なお先生に、「睡眠時間を削るリスク」について教えていただきました。
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免疫力を高めて感染症を予防する「7時間睡眠」のすすめ
米カリフォルニア大学が18~55歳までの健康な男女164名を対象に行った研究で、1日の睡眠時間が6時間以下の場合、7時間以上眠っている人に比べて風邪をひくリスクが4.24倍高くなるという研究結果を報告しています。
たかが風邪といってあなどっていてはいけません。免疫力が低下しているということは、風邪以外にも新型インフルエンザやノロウィルスなど、さまざまな怖い感染症にかかる可能性も高まるということです。また、免疫力の低下は「体内の異物とたたかう力が落ちる」ということなので、がんやアレルギーの悪化にもつながってしまう危険性がひそんでいます。
私たちの体は風邪をひくとだるさを感じたりたり、眠くなったり、横になりたくなったりしますよね。これは免疫系が深い眠りを誘発するからで、「少し休みなさい」という免疫系からのメッセージ。昔から風邪をひくと「寝て治せ」といわれてきましたが、科学的にもそれはまさに正しいことといえるでしょう。
そもそもインフルエンザなどにかからないよう、毎年冬になるとインフルエンザの予防ワクチンを摂取する人も多いと思いますが、じつは睡眠不足の場合、ワクチンの有効性が11.5倍も低くなることも明らかになっています。
「ワクチンをうったから安心」ではなく、そのあと、いかに十分な睡眠がとれているかが感染を防ぐための鍵となるのです。「せっかくワクチンをうったのにインフルエンザにかかってしまった」という経験のある人は、まずは自分の睡眠時間や睡眠の質を見直す必要があるでしょう。
「根性」や「気合い」で心身の健康は保てないですし、長いスパンでみれば能率も上がらず非効率的な考え方といえます。持続的に高いパフォーマンスを発揮するためには、病気を「治すもの」という考え方から「予防するもの」という考え方にシフトしていくことが大切です。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があり、適切な睡眠時間は個人個人によって異なることもわかっています。まずはほとんどの人に必要だと考えられている7時間の睡眠時間確保を目指し、日中の体調などをセルフ観察しながら徐々に自分に最も合った睡眠時間を見つけましょう。