ウォーキング、マラソン、ジム、ヨガ、水泳、球技や格闘技など、エクササイズの種類は無尽蔵。健康にもたらされるメリットも年を追うほどに明らかにされています。このたびどんな程度の運動であっても、続けていると寿命を延ばす効果があることが、国際研究グループによって示されました。
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3万人以上のデータを分析
世界保健機関(WHO)は、中程度の強度の運動を週に150分行うと健康にとってのメリットがあると説明しています。また理想的には300分にするのがよいとも示しています。日本の調査によると、日本人がスポーツにかける時間は週に14分。通勤や通学にかけている時間が平均43分であるなど生活の中で体を動かす時間はあるとはいえ、理想からはほど遠いようです。
研究グループが注目したのは、どれくらいの運動をすると、死亡のリスクを下げることができるのかという点です。運動の強さや時間に加えて、座っている時間との関係についても調べることにしました。
使用したのは世界中の研究で蓄積されたデータ。研究グループは10の研究を選んで、3万6383人分のデータを分析しました。これらデータの調査期間は平均5.8年。この間に2149人が死亡しています。
運動に取り組むほど死亡リスクは下がる
わかったのは、運動に取り組むほどに死亡のリスクが低下するということ。運動に取り組む時間によって4つのグループに分けて分析したところ、あまり運動をしない人を基準にすると、1段階運動の時間が増えるごとに死亡のリスクは減っていくという結果に。1段階運動する時間が増えると52%減少、さらに2段階だと66%減少、最も運動をしていると73%減少することがわかりました。こうした死亡のリスクが低下することは運動の程度が軽くても同じように現れ、軽い運動をしたときのリスク減少の割合は40%、56%、62%となっていました。
逆に、座っている時間が増えると死亡のリスクは高まるという結果に。座っている時間によって4グループに分けると、いちばん座っている時間が少ない人を基準にすると、段階が上がるごとに、28%、71%、163%と、死亡リスクは高まることがわかりました。どんな軽い運動であっても、日ごろから取り組むことは大切といえるでしょう。
<参考文献>
総務省統計局「平成28社会生活基本調査」
Physical Activity and Adults
https://www.who.int/dietphysicalactivity/factsheet_adults/en/
Dose-response associations between accelerometry measured physical activity and sedentary time and all cause mortality: systematic review and harmonised meta-analysis
https://www.bmj.com/content/366/bmj.l4570
Physical activity at any intensity linked to lower risk of early death
https://www.bmj.com/company/newsroom/physical-activity-at-any-intensity-linked-to-lower-risk-of-early-death/
文/星良孝