高カロリ-で高塩分、ビタミンやミネラル、食物繊維があまり含まれない、いわゆるジャンクフード。そればかりの食生活だと、健康を害してしまうことにも。実際に、肥満のほか、血管の病気やがんなどとも関連すると考えられていますが、このたび英国の研究グループは、目が悪くなってしまう場合もあると注意を促しています。
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原因不明の目のトラブルを調べてみると
今回、問題として注目されたのが、栄養の不足によって目の神経に起こる病気です。胃腸のトラブルがあったり、栄養の吸収を妨げる薬を飲んだりしたときに、栄養が不足して目の神経が害されることが知られており、日本でも「栄養欠乏性視神経症」という名前で知られています。一般的に、食べ物の栄養が不足しがちな発展途上国の病気と考えられているもので、先進国ではそこまでの問題はないと考えられていました。しかし、ひょっとすると、原因不明の目の悪さの背景にこの問題が隠れているかもしれないというのです。
英国の研究グループが報告したのは、10代の男性の目の症状でした。その男性は慢性的な疲労感があると医療機関を受診したのですが、最初はその原因がわかりませんでした。ところが、その後、視力低下に陥ってしまったのです。
背景にジャンクフードの存在…?
この事例から明らかになったのは、その10代の男性に偏食の問題があったということ。当初、肥満の傾向がないうえ、身長や症状にも問題はなく、薬も飲んでいませんでした。そのため栄養不足が問題だとはわからなかったのです。ただし、最初の検査から、ビタミンB12の不足、貧血傾向があったため、ビタミンB12の補給が行われていました。
ところが、その1年後に聴力や視力の低下が見られたのです。そこでさらに詳しく調べた結果、ビタミンB12、銅、セレンが不足していたほか、亜鉛が高い一方で、ビタミンDが低下、骨密度も低下していることがわかりました。そうして浮かび上がったのが、ポテトチップスやパン、加工された豚肉の食品ばかり食べるといった偏食だったのです。結局、この男性は失明に近い状態まで悪化していたのでした。
研究グループはジャンクフードによるビタミンとミネラルの不足によって、栄養欠乏性視神経症に至ったと結論しました。こうした問題が起こりえるのは、ジャンクフードばかり食べたときのほか、ビタミンB12の不足に配慮せずに肉や魚を食べないヴィーガンを実践したりしたときと指摘されています。
同じような問題が起こる可能性は日本でもあるかもしれず、注意が必要かもしれません。
<参考文献>
Poor diet can lead to blindness, case study shows
http://www.bristol.ac.uk/news/2019/august/diet-study.html
Blindness Caused by a Junk Food Diet
https://annals.org/aim/article-abstract/2749497/blindness-caused-junk-food-diet