なぜか顔に痛みを感じるという人がいるかもしれません。そうした顔の痛みは珍しいことではなく、頭痛と顔の痛みを同時に感じる人も。研究から、頭痛と思っていても、じつは多くの人が頭ではなく顔に痛みを感じていることがあるとわかってきました。頭痛がするから顔が痛いのか、それとも顔が痛いのは別の理由なのか。その真相をドイツの研究グループが調べています。
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頭痛患者2912人を調べてみた結果
頭痛の症状のひとつとして、「顔面痛」があることはあまり知られていません。そのせいで、顔の痛みの原因が不明で、適切な治療を受けるまでに長く待たされる人も少なくありません。
このたびドイツハンブルグ大学の研究グループは、頭痛と顔の痛みの関係を確認するため、頭痛患者のどれくらいに顔の痛みの症状が見られるか調べました。研究グループは2912人の頭痛患者を対象とし、頭痛や顔の痛みについてアンケートを行いました。
片頭痛と群発頭痛(短時間キリキリと刺すような痛み)も含めた頭痛について調査しました(ただし、頭痛の原因として、歯痛からくる顔の痛みがある場合は除きました)。
頭が痛いのではなく、じつは顔が痛い
わかったのは、頭痛患者の約1割が顔にも痛みを感じているということ。頭痛といっても、その痛みのほとんどを顔に感じている人も多かったのです。
具体的には、対象とした頭痛持ち2912人のうち291人(10%)が、顔面痛を報告。片頭痛がある1935人のうち、顔の痛みを報告したのは44人(2%)でした。そのうち41%が、ほとんどの痛みを顔に感じていました。また、群発頭痛の283人のうち、42人(15%)が顔に痛みがあり、そのうち31%が、ほとんどの痛みを顔に感じていました。
また、発作性片頭痛(頭の片側だけに激しい痛みが突発的に起こる珍しいタイプの頭痛)の20人のうち45%、持続性片頭痛(痛みが強まったり弱まったりしながら持続する珍しいタイプの頭痛)の42人のうち21%に、顔に痛みがある割合が高くなっていました。もうひとつの珍しいタイプの頭痛である、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(頭の片側にだけ慢性的に頭痛が起こる頭痛)の患者15人のうち20%も、顔に痛みがありました。
さらに、継続して顔の片側に痛みがあった6人には、10~30分間の激しく顔が痛む発作が1日に数回ありました。これまでにこのような痛みの症状に関する研究報告はなく、研究グループは、頭痛とは分けて「持続性片側顔面痛」と命名することを提案しています。
研究グループは「このようなタイプの顔面痛についてより理解を深め、治療法を確立させるため、顔の痛みは、頭痛がただ違う場所に現れているだけなのか、それともまったく異なる2つの症状であるのか、さらに詳しく調べることが重要」と述べています。
また、一方で今回の研究の限界も指摘しており、「対象者は、過去の症状について聞かれているため、記憶に曖昧な点がある場合や、担当した医師が患者に顔の痛みを確認していなかった場合もあり、実際に顔面痛があった人は多かった可能性がある」と説明しています。
日本においてももっと顔面痛が注目されてくるかもしれません。
<参考文献>
IT’S NOT JUST A PAIN IN THE HEAD—FACIAL PAIN CAN BE A SYMPTOM OF HEADACHES TOO
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/2744