食べものからとり込まれ、体内に多量に蓄積されると老化を加速してしまう「AGE」。たんぱく質と糖が結びつくことによってできるAGEは、どうしてもたまっていくものではありますが、食べものからとりこむ量を、できる限り1日の許容範囲内に抑えておきたいところ。では、何をどのくらい食べればAGE的にセーフなの? 避けたい高AGE食品とは? そのあたりの勘が働くようになれば、アンチエイジング対策もぐっと身近なものになるはず。今回もAGE研究の第一人者・山岸昌一先生にお話を聞いていきます。
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そもそも1日のAGEの摂取量の目安はどのくらいなのでしょうか。
食事から入ってくるAGEを数値化した「exAGE」でいうと、その目安は15,000 exAGEです。
今回はもともとAGEの高い食品や、意外に高AGEな食品に焦点をあてて、AGE値とともに紹介していきますので、参考にしてみてください。
肉は部位によってAGE量が違う
肉には、糖とたんぱく質をくっつきやすくする脂質も含まれているため、調理するとAGE量が多くなります。意外に多いのが、焼き肉で人気の牛タン。また、ひき肉も多めです。
前回、紹介したように肉をマリネしたり、脂身を除いたりしてから調理すると、AGEを抑えることができます。
脂がのった魚はAGE量が多め
魚も肉と同様、脂がのった魚や部位は、AGE量が高くなります。刺身や蒸し物、煮ものにするのが、AGEを増やさないコツ。いくらなどの魚卵も少し高めですので、たくさんの量を食べないようにしましょう。
ちなみに、イカ、カニ、エビは、比較的、AGE量が少なめです。
ベーコン、ソーセージ、ハムには要注意
加工食品は、保存がきくように製造過程で水分などをとり除くため、たんぱく質と糖がくっつきやすくAGE化が進みます。さらに、砂糖などを使っているため、AGE量は増えます。とくに肉を原料としているベーコン、ソーセージ、ハムは要注意。なかでも、ベーコンはたった30gで、4,039 exAGEと驚きの数値です。朝食でおなじみのカリカリベーコンは、こんがりと焦がすため、よりAGE量が増えます。ベーコンは1枚約20g。半分に切ったベーコンを3枚フライパンに並べ、卵をひとつ落として目玉焼きを作ると、それだけで1日の許容量の1/3以上のAGEを摂取することになります。
魚の練り物もAGEは高くなります。干物や乾物も水分を飛ばすため、生のものよりもAGEは高めです。しかし、干すことによって、カルシウムが増えるなどのメリットもあります。
フルーツのAGE量は?
フルーツは甘いほど糖度が高く、AGEは増えますが、その量は多くはありません。ただし、果物の糖分は果糖といい、ブドウ糖よりも体内でAGE化するスピードが速い糖を多く含んでいます。フルーツはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富ですから、食べ過ぎに注意して、うまくとり入れるようにしましょう。
また、甘くはありませんが、アボカドは脂質が多いぶん、919 exAGE(1個・175g)とかなり多めです。
“濃縮還元“に要注意!
では、野菜ジュースやフルーツジュースはどうなのでしょうか。
じつは意外にも、これらのジュースは高AGE食品なのです。生のフレッシュジュースならよいのですが、濃縮還元という方法で作られているものは、たとえ100%果汁でも要注意。果汁に熱を加えて濃縮していますのでAGEが多く含まれます。
また、濃縮している分、糖が多いうえに製造の行程でどうしても食物繊維などの機能性成分が減ってしまいます。栄養の摂取をジュースに頼らず、野菜や果物そのものを食べることをおススメします。
「とはいっても、毎日毎日AGEの量ばかりに神経を使っていては疲れてしまいますから、もう少しざっくりととらえてコントロールするのが長続きのコツです。たとえば1週間のトータルでAGE量を調整してみましょう。今日はベーコンを食べたから、明日はお刺身にしようといった具合にです。また、調理法を工夫するだけでも、だいぶAGEの量をコントロールできます」(山岸先生)
栄養のバランスを大事にしながら、AGEも意識した食生活を送っていきたいですね。
次回はAGE量をメニューごとに見ていきます。
取材・文 大内ゆみ
<参考文献>『数字でわかる老けない食事 AGEデータブック』(監修 山岸昌一/AGE研究協会)