今やすっかり生活の一部となったソーシャルメディアですが、他人の楽しそうな様子に接してついうらやましく思ってしまうなど、メンタル面への影響が心配されることもあるようです。このたびそんな状況を明らかにする研究結果が出てきました。InstagramやFacebookなどのSNSを頻繁に利用していると、特に低年齢の女性で、睡眠時間や運動時間が減ったり、ネット上のいじめに接したりすることによる悪影響が見られるというのです。
Contents 目次
10代を対象にアンケート
SNSを毎日使っているという人は老若男女問わずに増加中です。総務省の統計では、2016年にFacebookの利用者は32.3%、Twitterは27.5%と、おおむね3分の1が使っている状況。その後も新しいSNSのソフトも増えて、ますます一般化していると考えられます。そんなSNSは他人の日常生活を目にして、うらやましいと感じ、充実していない生活を送る自分と比べるなどマイナス面も指摘されることが出ています。
このたびロンドン大学などの研究グループは、英国の1万3000人近くの10代の男女を対象とした、3年にわたる毎年のアンケートデータを分析。よく利用する人へのSNSの影響を調べました。アンケートではSNSの利用頻度に加えて、メンタル面での健康度と幸福感や日常生活の満足度についても確認。TwitterやFacebookなどのSNSを1日に3回以上利用する場合を「頻度が高い」として、関係を調べました(今回の研究は利用の“頻度”で、“時間”ではありません)。
“高頻度”の利用でストレス増加
分析してわかったのは、男女ともにSNSを“高頻度”に利用していると、ストレスが高まるという結果です。高頻度に使っている割合は、アンケート1年目(男性43%、女性51%)から3年目(男性69%、女性75%)にかけて増加していましたが、男女ともに、SNSをよく利用する人ほど、メンタル面でのストレスが高くなっていました。さらに、SNSを高頻度に利用していた女性では、幸福度や人生の満足度も低くなるという状況が判明したのです。男性ではこのような結果は見られませんでした。
女性の幸福度が下がった原因の大部分は、ネット上のいじめに接したことと、睡眠と運動の時間が減ったことによるものでした。また、メンタル面でのストレスの原因も、60%が睡眠不足とネット上のいじめによるものでした。対照的に男性では、メンタル面でのストレスの原因として睡眠、運動、ネット上のいじめが占める割合はわずか12%でした。
研究グループは、SNS自体が有害なのではなく、頻繁に利用することで十分な睡眠や運動といったメンタル面でよい影響を与える活動が減ることが問題と指摘。さらに、大きな問題となるのが、ネット上のいじめのような有害な内容に接することだとしています。
SNSの影響には男女差があるようで、さらに詳しい研究が必要と説明しています。日本でも、SNSを使うときには、同じような点に気をつけるとよさそうです。
<参考文献>
Study uncovers how heavy social media use disrupts girls’ mental health
http://www.imperial.ac.uk/news/192488/study-uncovers-heavy-social-media-disrupts/
Lancet Child Adolesc Health. 2019 Oct;3(10):685-696. doi: 10.1016/S2352-4642(19)30186-5. Epub 2019 Aug 13.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31420213