クランベリーは、ドライフルーツやジュースなどで口にすることがある、日本でも人気の果物。ベリーなど果物の健康へのよい効果は、さまざまな研究が行われてきました。このたびカナダの研究グループが報告したのは、健康を害する菌を減らすような効果について。クランベリーの秘めた効果として注目されるかもしれません。
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感染症を起こしにくくする?
果物のなかでもクランベリーは、味はもとより、抗酸化作用があると見なされているのですが、このたび研究グループは細菌を撃退する効果があることに注目しています。クランベリーのもつ成分を使うことで、通常よりも少ない薬でも細菌を減らせるようになるというもの。また薬が効かない細菌が生まれにくくなることもわかりました。
もともとクランベリーのジュースを飲むことで、泌尿器系の感染症を起こしにくくしてくれることはよく知られていました。研究グループは泌尿器感染症のほか、肺炎や胃腸炎を引き起こす細菌を選び出して、クランベリーの抽出成分の菌に対する効果を調べたのです。
抽出成分で薬の効果がより高く
わかったのは、クランベリーの抽出成分を薬と一緒に使うことで、薬が効かない細菌が生じないということでした。こうした効果は意外なもので、研究グループはこの結果について驚いたと感想を紹介しているほど。
研究グループがこうした薬の効果に与える影響の仕組みを調べたところ、2つの原因を見い出すことができました。ひとつは、細菌の細胞壁の浸透性を高める効果があったこと。このために薬が効きやすくなっていたのです。さらに、細菌が薬を細胞の外に排出するのを邪魔する効果もありました。
なおこうした効果を発揮したのはポリフェノールの一種である「プロアントシアニジン」と研究グループは説明。この成分にはいくつか種類があるため、より効果的なものを見極める必要があるといいます。
研究グループは、今後、動物実験などを進めて、こうした効果を検証していく計画。身近な果物に意外な効用が秘められているのかもしれません。
<参考文献>
Cranberries join forces with antibiotics to fight bacteria
https://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/cranberries-join-forces-antibiotics-fight-bacteria-297443
Adv Sci (Weinh). 2019 May 28;6(15):1802333. doi: 10.1002/advs.201802333. eCollection 2019 Aug 7.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31406662
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/advs.201802333