「朝スッキリ起きられない」、「午前中はやる気が起きない」など睡眠にトラブルを抱える人の多い現代社会。このような睡眠の質・量の低下によって心身に不調を感じる人が増加傾向にある状況をふまえ、医師や専門家によって『目覚め方改革プロジェクト』が立ち上げられました。今回は、同プロジェクトが発信する『目覚めスッキリコラム』の内容から、プロジェクトのリーダーである久留米大学医学部 神経精神医学講座 内村直尚教授が紹介する、朝の目覚めがよくなる「体内リズム」の整え方を見ていきましょう。
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■生体時計が睡眠を調整
毎朝スッキリ目覚められず午前中はいつもだるい、毎日起きるのがツライ…。このように朝の体がスッキリと目覚められないのは、 “体内リズム”の乱れが一因と考えられています。
「私たち人間の体には、そもそも“生体時計”と呼ばれる体内リズムが備わっています。この時計の中心は、脳の視床下部の『視交叉上核(しこうさじょうかく)』というところにあり、体温や自律神経、ホルモン分泌など、あらゆる体の働きを調整しています。ほぼすべての臓器にも同じように時計が備わっており、眠ったり起きたりにも、体内リズムが大きく関わっているのです」(内村教授)
自分の意志だけではコントロールしがたい睡眠や目覚め。加えて現代人は、仕事や家事などの忙しさから夜型生活になりやすく、夜遅くまでテレビやスマホを見たりして体内リズムが乱れがちです。
日本人全体の平均睡眠時間は平均7時間ですが、40年前に比べると1時間も減少しています。内村教授によると、世界的に見てもこれほど短期間で平均睡眠時間が短くなっている国民はいないのだそうです。
ではスッキリ起きるためにはどうしたらよいのでしょう?
■朝のダルさがなくなる! スッキリ目覚める3つの方法
<1>週末、連休は平日の起床時間+2時間以内にしよう
平日の寝不足を返上しよう、疲労回復をしようと週末や連休にお昼近くまで寝ていませんか。
「昼近くまで眠って“寝だめ”すると、かえって体内リズムにズレが生じてしまいます。とくに長期休暇は要注意。いつもより4~5時間遅くまで多く寝ているならば、休み明けはハワイ帰りのような時差ボケ状態に。多くても、平日の起床時間+2時間以内にとどめましょう」
<2>日の光を浴びながら軽い運動を行う
人間は、日の光を浴びてから15~16時間後に睡眠誘導ホルモンであるメラトニンが分泌されて眠気が現れます。体内リズムを整えるために、朝起きたら日の光を浴びて、軽い運動をすることで夜の睡眠の質を高めてくれます。
<3>短時間の昼寝をとる
短い昼寝をすると、そのあと脳がクリアになり、やる気や集中力が上がります。しかしそれだけではなく、夜の睡眠にもいい影響があるのです。
「日中働いて夜に寝る生活をしている人が、いちばん眠くなるのは深夜2~4時。次に眠くなるのは14~16時です。これは体内リズムによって決まっているため、午後は誰でも仕事のパフォーマンスが低下するもの。よく、“昼食後は食べたものを消化するために眠くなる”と思われがちですが、それよりも体内リズムが大きく関わっているんですよ。
また、眠くなる前に仮眠をとって覚醒レベルを上げておくことで、昼と夜の体内リズムにメリハリが生まれます。すると夜は自然と眠くなり、寝つきがよくなったり睡眠の質が上がったりします」
昼寝は長くても30分以内にとどめて、昼食後から15時頃までにとるのがポイント。時間がないときは目をつぶって10分ほど静かにしているだけでもOK。とはいえ、夜の睡眠時間が不足しているほど日中の睡魔に耐えることができないため、睡眠時間を確保する意識は必要です。
目覚めがいいと朝から体が軽く、1日を活発に過ごすことができますね。体内リズムをよく知れば、どのような条件のときでも良質な睡眠がとれてスッキリと目覚められそうです。
情報提供:目覚め方改革プロジェクト
文/庄司真紀