ビタミンB12は、体の機能を正常に保つために大切な「代謝」に欠かせない栄養素。不足するといろいろな症状が出ることが知られていますが、このたび、妊娠中にビタミンB12が足りないと、脂肪が代謝されにくくなって、太る可能性があると報告されました。脂肪がたくさんつくられるうえに、あまり分解されなくなるらしいのです。
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不足しがちなビタミンB12
英国の研究グループによると、世界的に妊婦のおよそ25%がビタミンB12不足になっているそう。妊娠中の女性は、赤ちゃんの成長と発達のためにビタミンB12をたくさんとる必要があるからです。炭水化物の多い食事や添加物の多い加工食品などは栄養が少ないため、ビタミンB12不足につながる可能性があります。ビタミンB12は海産物、食肉、乳製品などに含まれています。
研究グループが注目したのは、なぜビタミンB12が必要とされるのか。そして脂肪との関係に着目しました。不足してしまうと、肥満や糖尿病のリスクが高くなるという研究結果から、脂肪の代謝に悪影響があるのではと考えたのです。そこで、妊婦106人の脂肪の細胞から影響を探ることにしました。
脂肪の代謝が低下してしまう
その結果、わかったのは、ビタミンB12が足りないと、脂肪の細胞がうまく機能しなくなるということでした。ビタミンB12が不足していた妊婦の脂肪にある細胞では脂肪がたくさんつくられるようになっていました。しかも、脂肪を分解してエネルギーをつくる能力が下がって、炎症が増加しました。これは、ビタミンB12が少ない条件で培養した脂肪の細胞でも同様でした。
研究グループは、もっと大規模な研究でたしかめる必要はあるものの、ビタミンB12が足りないと、脂肪にある細胞の代謝能力が下がって、脂肪がたくさん蓄積されるようになると指摘。炎症によるダメージも加わって、体重が増えるのだろうと説明しています。
健康のためにも、妊娠中にビタミンB12を欠かさないよう注意するのが大切といえそうです。
<参考文献>
Vitamin B12 deficiency associated with obesity during pregnancy
https://www.endocrinology.org/news/item/13802/Vitamin-B12-deficiency-associated-with-obesity-during-pregnancy
Vitamin B12 deficiency linked to obesity during pregnancy
https://warwick.ac.uk/newsandevents/pressreleases/vitamin_b12_deficiency/