食物繊維とヨーグルトといえば、まず思い浮かぶのが、腸活。美容と健康に大切ですから、いろいろな形でとり入れている人も多いでしょう。そして、このたび思いもよらない効果が新たに報告されました。食物繊維、ヨーグルトのいずれもたくさんとると、なんと「肺がん」になりにくくなるというのです。ダブルでとれば相乗効果も期待できそうです。
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世界中の追跡研究をまとめて分析
腸内で体に有益な微生物を増やそうという腸活。腸内環境にとって有益な生きた微生物を含む食品は「プロバイオティクス」と呼ばれ、ヨーグルトやチーズ、乳酸菌飲料などが人気を集めています。さらに、こうした腸内の有益な微生物を増やしてくれる食品成分は「プレバイオティクス」と呼ばれ、オリゴ糖や食物繊維などが効果を認められています。いずれにしても、お腹の健康にとどまらず、全身の免疫から、精神的な面に至るまでさまざまな影響を及ぼしていることが、最近注目されるようになっていました。
そうしたなかで、このたび肺がんとの関連性について検討を進めたのが、米国や中国などの国際研究グループ。世界中の過去の追跡研究に基づいて、食物繊維やヨーグルトと肺がんとの関連性について分析しました。対象となった研究は欧米とアジアで行われた追跡研究10件。合計参加者は145万人近くに及び、平均追跡期間は8.6年でした。
両方たくさんとっているとさらに効果アップ
そしてわかったのは、食物繊維とヨーグルトをとっている人は肺がんになりにくいということでした。喫煙歴などの肺がんのリスク要因も織り込んで分析した結果、食物繊維をたくさんとっていた人は、あまりとっていなかった人に比べて、肺がんになるリスクが17%低くなることが判明。ヨーグルトについては、たくさん食べていた人はまったく食べていなかった人に比べて、肺がんになるリスクが19%低いことがわかったのです。こうした関連性が顕著だったのは喫煙したことがない人で、性別や民族によらず関連性が確認できました(肺がんのタイプによる違いもなし)。
さらに、食物繊維とヨーグルトを両方ともたくさんとっていた人は、食物繊維をあまりとっていなくてヨーグルトをまったく食べていなかった人に比べると、肺がんになるリスクが30%以上も低くなり、相乗効果もあると見られました。研究グループは、プロバイオティクスに当たるヨーグルト、プレバイオティクスに当たる食物繊維には肺がんを防ぐ効果がありそうだと結論づけています。
<参考文献>
JAMA Oncol. 2019 Oct 24. doi: 10.1001/jamaoncol.2019.4107. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31647500