お正月休みですっかり遅寝&遅起きモードにシフト。体内リズムのうしろ倒しは簡単でも、前倒しに戻すのは大変! 休み明けは“休みボケ”でイマイチ調子の出ない状態にならないようにしたいですよね。今回は、『目覚め方改革プロジェクト』が発信する『目覚めスッキリコラム』の内容より、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 臨床病態生理研究室 室長の北村真吾先生が教える寝だめと体内リズムについて紹介します。
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朝の光で体内リズムがリセット
お正月は年末の疲れもあってここぞとばかりに「寝だめ」をしがち。十分寝ていたはずなのに、休み明けの1月前半は体がだるくて頭も働かない…。それは昼過ぎまで寝ていることで朝の光を浴びていないことが関係しています。
「そもそも人間に備わった体内リズムは24時間より少し長く、そのままではうしろにズレてしまうため、毎日リセットする必要があります。リセットすることを“同調”と言います。同調に最も効果的なのが、外に出て朝の光を浴び、目から脳へ光の信号を届けること。
しかし、休み中に昼近くまで寝だめをすると、室内でカーテンを閉めたまま目を閉じているため、適切なタイミングの光で同調が行われません。
目から入る光の影響は、朝であるほど同調の効果が強く乱れた体内リズムが前倒しされ、昼以降の光では朝より効果が弱くなることがわかっています」(北村先生)
体内リズムのリセットのためには、朝の光を浴びることが大切なんですね。
長期休暇は体内リズムがうしろ倒ししやすい
体内リズムをうしろにずらすのは簡単。しかし前倒しするのは、それほど簡単ではありません。
「私たちの体内リズムは24時間より少し長いことも影響して、もともとうしろにはずらしやすいのですが、前倒しはしづらいという特性を持っています。
つまり、休みだからといって夜ふかしをするのは簡単なのに、休み明けにずれた体内リズムを朝型へ戻すのは大変なのです」(北村先生)
しかも夜ふかしすると、そのまま昼過ぎまで寝ていられる長期休みは、そのずれがますます拡大してしまいます。
「週末2日間の休みだけでも体内リズムが30~45分ほどうしろにずれると言われますが、1週間以上の長期休暇になると2~3時間は簡単にずれてしまいます。
“遅寝&遅起き”がダラダラと何日も続いたお正月休み明けは、まさに体内リズムが大幅に乱れているということ。なるべく早く、乱れた体内リズムを元に戻すことが重要です」(北村先生)
朝と夜の光をどう浴びるか
また、乱れた体内リズムを整えるには、朝と夜の光をどう浴びるかがポイント。
「朝は、できるだけ早い時間に外に出て太陽の光を浴びましょう。太陽の強い光が目から脳に伝わることで体内リズムがリセットされ、夜になったら眠くなり、朝はスッキリ目覚められるようになります。
反対に、夜の光は体内リズムを夜型化してしまうので、蛍光灯などの白い光をなるべく浴びないようにすることが大切です。白い光は、体内リズムに影響の強いブルーライトを含み、脳を覚醒させリズムを乱す原因になります」(北村先生)
夜は室内では白い光をやめて暖色系の照明に切り替えたり、スマホやP Cを見る際もブルーライトカットを心がけましょう。
お正月休みで体内リズムがずれたら、光の浴び方を工夫してできるだけ早めにリセットしたいですね。休みが終わる数日前から体内リズムを整えるようにすると、休み明けの心身ともにツライ状態が緩和されそうです。
情報提供:目覚め方改革プロジェクト
文/庄司真紀