「睡眠不足が心身に悪影響を及ぼす」とよくいわれるようになりました。では、そもそも多くの人が夜更かししてしまう原因はいったい何なのでしょうか。このたび米国で眠りの専門家チームが、その原因が動画配信の長時間視聴にあることを報告しています。ドラマシリーズの一気見などによって、貴重な睡眠時間が削られているのではと問題視しています。
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よく眠りたいけれど…
眠りの生活への影響は小さくありません。米国睡眠医学会の研究チームが実施した最新の調査によると、米国において日常生活の優先順位で家族に続く2番目が睡眠だそう。しかし、その一方で多くの人が睡眠不足に陥っています。
このたび研究チームは、こうした睡眠不足が広がる原因が近年、人気急増中の動画配信サービスの利用にあると考えました。そこで研究チームは、睡眠の優先順位に関するオンライン調査を実施。「寝る時間になっても、シリーズもののテレビ番組や動画配信を絶え間なく一気に見ているせいで夜更かしすることがあるか」という質問を投げかけたところ、18歳以上の2003人が回答しました。
シリーズものの見過ぎが88%
回答結果は、なんと回答者の88%が動画配信サービスでシリーズものを一気に何話も見たりして夜更かししていることが判明。しかも、18~44歳の年齢層に絞るとさらに95%にも上る結果に。夜更かしの原因には、読書をはじめ、ゲームやスポーツ番組の視聴などが挙げられました。
睡眠よりもエンターテインメントを優先してしまうと、イライラや落ち込みなどメンタルに悪影響が出る可能性も。回答者のおおよそ4分の1(24%)が、寝る時間を過ぎてしまっていることにイライラを感じていると回答。その傾向は、「Z世代」(1990年代後半以降、インターネットや携帯電話が当たり前のものになった環境に生まれ育った世代)に多く見られました。メンタルが不安定になると、睡眠障害といった深刻な問題に陥る悪循環が生じる可能性も。さらに最近の研究によると、動画配信サービスを見過ぎている人は日中に疲労感が出やすく、不眠症にもなりやすいそう。それだけでなく、睡眠の質も落ち、入眠しづらい状態になるといいます。
「今回の調査結果から、現代社会が抱える深刻な健康課題がはっきりと浮き彫りになった」と研究チーム。さまざまな技術によりエンターテインメントが提供され、オプションが選びきれないほどあるなか、適切な睡眠時間を最優先させることが簡単でない現状に、研究チームは「睡眠は最優先」と強調。就寝前に入眠をうながす習慣をつけるよう推奨しています。
寝る前に動画に没頭するのはスムーズな入眠を妨げてしまうため、避けたいところ。不眠に悩んでいる人は、ちょっと気をつけるとよいかもしれません。
<参考文献>
New survey: 88% of US adults lose sleep due to binge-watching
https://aasm.org/sleep-survey-binge-watching-results/
AASM Sleep Prioritization Survey Binge-Watching Past Bedtime
https://j2vjt3dnbra3ps7ll1clb4q2-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2019/11/sleep-prioritization-survey-2019-binge-watching-results.pdf