女性に多い片頭痛。食べるものや運動などをきっかけとして症状が突然現れることがあり、ふだんの生活に気をつけているという人も多いかもしれません。ですが、そんな片頭痛を過剰に怖がってしまい、本当に必要な運動から足が遠ざかってしまう問題もあるよう。頭痛もちだけれどもフィットネスに取り組もうという人は気をつけるとよさそうです。
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片頭痛を抱えると…
頭痛を抱える人は日本の場合、男性2.13%、女性5.06%。一方で片頭痛の症状をもつ人は世界の全人口の10~15%に当たるというデータも。このように片頭痛はごくありふれた症状のひとつといってもいいでしょう。
片頭痛はズキズキと頭の片側に痛みが出て、光や音、嗅覚に過敏になる症状が現れるのが特徴です。特定の食べものを食べたり、体を動かしたりすると、それをきっかけとして頭痛が出てくることもあります。そのためふだんの生活に気を遣っている人も多いはず。
予防法としては、ジョギングやウォーキングなどの軽い有酸素運動による運動不足の解消が効果的であると指摘されています。ただ、片頭痛患者の3分の1の人は、体を動かすことがかえって片頭痛の引き金となるともいわれ、運動はいわば両刃の剣。運動は健康全般にもつながりますから、ダイエットやフィットネスにも取り組めなくなる状況は避けたいところです。
このたび米国のグループが注目したのは不安などからくる本人の思い込みの問題について。「運動すると片頭痛になるのでは」と過剰に怖がってしまって、本当はやったほうがいい運動に取り組めない人もいるのではないかというのです。研究グループは、片頭痛もちの女性100人を対象に、運動を避けてしまう傾向と不安の感じやすさとの関係をアンケートによって調査しました。
不安を感じやすいほど運動を避けてしまう
するとわかったのは、不安を感じやすい人では運動を避ける傾向が強まるということでした。具体的には、不安の感じやすさの目安である「不安感受性スコア」が1ポイント上がるほど、身体活動を避ける確率が5%上がるという関連性が確認されました。体調が悪くなるのではないかという不安や恐怖から、運動をしないという選択をする人が多数存在していたのです。「運動が片頭痛の引き金となるという強い思い込みが背景にある」と研究グループは考えています。
有酸素運動に取り組むことは、片頭痛の予防にとって有効ですし、逆に運動を避けることは問題になり得ます。頭痛が悪化するのが怖くて運動を控えてしまうという人は、医師に対策などについて相談するのが賢明かもしれません。
<参考文献>
厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html
Running away from exercise: The curious case of 片頭痛
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/ihs-raf121219.php