植物油としてごく一般的な大豆油。「サラダ油」といった名前で売られているものの多くが大豆油です。ダイエットを考えると、油は控えめにしたいところですが、揚げものや炒めものなどの調理で欠かせないのもたしか。ファストフードや加工食品を作るためにも大切な油のひとつです。そんな植物油は肥満などにつながると考えられていますが、海外の研究グループが新たに大豆油による体への影響について報告しました。
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大豆油の体への影響は?
大豆油はこれまで肥満につながることが報告されていました。2015年に米国カリフォルニア大学リバーサイド校の研究グループは大豆油を摂取することで肥満につながるなどの健康への悪い影響があると発表。2017年には、大豆油に含まれるリノール酸を減らすことで、肥満につながる影響を減らせることも報告しています。
このたび研究グループは、大豆油の体への影響についてさらに詳しく分析。すると思いのほか、大豆油は体にとって大きな負担を与えている可能性が浮かび上がったのです。
影響が遺伝子に及ぶ可能性も
このたび判明したのは、大豆油を摂取することで脳に影響が及ぶ可能性があるということです。体の新陳代謝をつかさどっている「視床下部」と呼ばれる場所の遺伝子の働きが変化することがわかったのです。新陳代謝は体重にも直結し、体温にも関係しています。さらには生殖機能や成長、ストレスにも関連。こうした幅広い体の機能に影響する可能性がありました。
研究グループは動物実験を行って大豆油の影響を調べたのですが、大豆油の影響によって遺伝子が正常に働かなくなる傾向があることを確認。たとえば、こうした遺伝子への影響のために、愛情に関係しているとされるホルモン「オキシトシン」が低下しました。研究グループによると、100の遺伝子が影響を受けることが判明し、脳の機能への影響があるのではないかと推定します。
ただし、研究グループは、今回の結果は大豆油についてだけいえることで、大豆そのものやほかの植物油とは関係しないと強調します。つまり、豆腐や豆乳、枝豆、しょうゆは関係しないということ。今回の研究から、大豆油のとり過ぎには注意するとよいのかもしれません。
<参考文献>
America’s most widely consumed oil causes genetic changes in the brain
https://news.ucr.edu/articles/2020/01/17/americas-most-widely-consumed-oil-causes-genetic-changes-brain
Endocrinology. 2020 Jan 8. pii: bqz044. doi: 10.1210/endocr/bqz044. [Epub ahead of print]
http://dx.doi.org/10.1210/endocr/bqz044
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31912136