世界中に広がった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。このウイルスが急速に伝染し、しかも感染してまだ症状が出ていない人からでも伝染するケースがあることが研究で確認されました。人から人に感染していく間隔はおよそ4日。10%以上が無症状の人から感染しているようだと報告されました。徹底した感染対策が大切です。
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発症間隔とは?
新型コロナウイルス感染症の拡大をいかに止めるかに、世界の関心が向けられています。そのために重要な研究のひとつとなっているのが情報収集です。世界中の研究者がデータを分析して、感染を阻止するための手段を見極めようとしています。
このたび米国や中国などの国際研究グループは、中国の93都市で報告された450人以上の感染ケースを分析し、ここから感染がどのように拡大したのかを調べました。感染者の発症日時、可能性の高い感染場所などのデータを集めて、ウイルスがどれくらい速く伝播しているかの指標になる「発症間隔」を割り出そうとしたのです。発症間隔は、最初に感染した人が発症した時点から、その人から感染した人が発症するまでの時間のこと。ウイルスがどれくらいのペースで、どれほどの人数へと伝染していったかを推定する重要な基準になります。
感染予防の対策が大切
ここから見えてきたのが、発症間隔の期間が平均およそ4日という短期間であることでした。さらに、ウイルスに感染していてもまだ症状が出ていない人からの感染(「発症前伝播」と呼ばれます)が13%近くもあることでした。このことはウイルスをうつした人よりも、うつされた人のほうが早く症状を現すこともあるところから明らかでした。
この結果から、コロナウイルスはやはり発症間隔が数日と短いインフルエンザウイルスと同様に急速に広がるため、封じ込めが難しい可能性があると研究グループは指摘しています。一方で、アフリカで問題になったエボラウイルスの場合は発症間隔が数週間と長いため、封じ込めがはるかに容易とも説明しています。毎日新たなデータが出ているので様相は変化する可能性があるものの、無症状の人からの感染は封じ込めをさらに難しくするため、大流行を防ぐためには隔離や検疫、学校の閉鎖、旅行や集会の制限などを含む徹底した対策を直ちに実施する必要があると提言しています。中国と他国との間には差はある可能性はありますが、同様に日本でも対策の強化は急務です。
<参考文献>
Coronavirus Spreads Quickly and Sometimes Before People Have Symptoms, Study Finds
https://news.utexas.edu/2020/03/16/coronavirus-spreads-quickly-and-sometimes-before-people-have-symptoms-study-finds/
Serial Interval of COVID-19 among Publicly Reported Confirmed Cases
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0357_article