赤ちゃんにとって大切な栄養源になる母乳。その母乳には生まれたばかりの赤ちゃんを病気から守る免疫成分が含まれていると知られています。このたび生後3か月間、母乳だけで育てられた場合に、呼吸器系のアレルギーや喘息になるリスクが下がると報告されました。母乳の秘められた効果として注目されます。
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母乳を飲むと現れる効果は?
今回の研究では、米国食品医薬品局(FDA)と米国疾病対策センター(CDC)がおよそ2000組の母親と新生児のペアを対象として行った授乳と乳児の栄養に関する調査のデータを分析したものです。この調査では、生後1年間にわたり赤ちゃんが母乳や粉ミルクを含めてどんな栄養をとっているかを報告してもらいました。
6年後に再び、同じ母親と赤ちゃんの健康状態や発達、食事などについて調査。研究では、すべてのデータがそろっていた1177人の赤ちゃんを対象に、生後3か月間の栄養を、母乳だけ、粉ミルクだけ、母乳と粉ミルクの併用の3パターンに分けて、呼吸器系アレルギーと喘息との関連性を調べたのです。6年後の時点で、20.8%が呼吸器系アレルギー、11.3%が喘息と診断されていました。
粉ミルク併用ではリスク下がらず
ここから判明したのが生後3か月間に母乳だけだった赤ちゃん(全体のおよそ3分の1)は、6年後に呼吸器系のアレルギーになるリスクが23%低いということです。喘息になるリスクも34%低くなりましたが、これは喘息になりやすい家系ではない人だけに見られた結果でした。生後3か月間に母乳だけではなかった場合は、どちらのリスクも下がりませんでした。
母乳は子どもが呼吸器の病気になるリスクを下げる可能性があると研究グループ。「少なくとも生後3か月間、母乳だけにすると、呼吸器系のアレルギーや喘息を予防できるかもしれない」と結論づけています。赤ちゃんのミルクについては、母乳の出やすい、出にくいといった問題などもあるので簡単ではありませんが、こうした研究を参考にしてもよいかもしれません。
<参考文献>
Breastfeeding and Risks of Allergies and Asthma
https://newsroom.wiley.com/press-release/acta-paediatrica/breastfeeding-and-risks-allergies-and-asthma
Bigman G. Exclusive breastfeeding for the first 3 months of life may reduce the risk of respiratory allergies and some asthma in children at the age of 6 years [published online ahead of print, 2020 Mar 3]. Acta Paediatr. 2020;10.1111/apa.15162. doi:10.1111/apa.15162
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/apa.15162
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32128903