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結婚、出産、病気、死別…人生のライフイベントとどう向き合う? 研究からわかった「幸福感を高めるコツ」

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壁にもたれてもの思いにふける女性

「ライフイベント」、つまり結婚や家族の死、破産といった人生における大きな出来事は、幸福感や人生に対する満足度に大きく影響しますが、よい出来事があればもっと幸せになるし、悪い出来事があれば幸せではなくなるだろうと考えるのがふつう。でも、オーストラリアで行われた研究の報告によると、一概にそうともいえないようなのです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

18種類のライフイベントについて分析

カウンセリングを受ける女性

今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のおかげで経験したことのない出来事が多かったという人も少なくなかったでしょう。卒業式が中止になったり、結婚式が延期になったり、葬式が簡素になったりという方もいたかもしれません。今回の研究ではライフイベント18種類と幸福感との間の関係に注目しています。

オーストラリア、シドニー工科大学の研究グループが調べたのは、個々のライフイベントが幸福感に与える影響の大きさや時間的な長さについて。「幸福感」を楽しい、悲しいといった感情的な側面(「感情的幸福感」)と、人生に対する満足度(「認知的幸福感」と呼ばれます)の2つの領域に分けて、それぞれに対する影響を分析しました。2つ以上の出来事が同時に起こった場合にどうなるかにも目を向けました。

もとになったのは、オーストラリアで2001年から行われている全国規模の追跡調査データです(インタビューやアンケートで健康状態や社会・経済状態を継続的に調べています)。参加者のなかから1万4000人を対象として、結婚、出産、事故や病気、失業や昇進、破産、家族や友人の死など18種類のライフイベントが幸福感に与える影響の程度や推移を分析しました。

幸福感アップも2年で薄れる

室内ゲームでフィットネスを楽しむ女性

ここから見えてきたのが、影響の大きさや長さにかなりの違いがあることです。ライフイベントのなかでも「結婚」「出産」「大きな経済的利益」(遺産相続や宝くじなど)は幸福度がもっとも上がりました。そうしたプラスの影響は全般的におよそ2年で消え、幸福感は元のレベルに戻っていました。

マイナスの影響としては「パートナーか子どもの死」「離婚(または長い間のパートナーとの別れ)」「大きな経済的損失(破産など)」のほか、「健康上のショック」(大病や大けがなど)がもっとも大きかったのですが、ほとんどは平均およそ4年で元の状態に戻りました。

また、認知的幸福感と感情的幸福感の両方にプラスの影響を与えるライフイベントはありませんでした。その目立った例が「妊娠」と「出産」で、出産後1年間、人生の満足度がとても高くなったのに、同じ1年間に感情的な幸福感は反対に下がったのです。一見、幸福感につながる出来事がかえって逆の影響をしているという結果です。さまざまな苦労も伴いますから、納得できる面もあるでしょう。

対照的に「離婚」「健康上のショック」、「大きな経済的損失」は認知的幸福感と感情的幸福感の両方にマイナスの影響を与え、幸福感が回復しない場合もありました。

「幸せな出来事を追い求めるよりも、人との絆を強くする、健康を維持する、経済的なリスク管理を怠らないなど、マイナスのショックから身を守るようにするほうが、幸福感や人生の満足度を高めることにつながるのではないか」と研究グループは指摘しています。

<参考文献>

New study examines impact of major life events on wellbeing
https://www.uts.edu.au/news/business-law/new-study-examines-impact-major-life-events-wellbeing

Kettlewell N, Morris RW, Ho N, Cobb-Clark DA, Cripps S, Glozier N. The differential impact of major life events on cognitive and affective wellbeing. SSM Popul Health. 2019;10:100533. Published 2019 Dec 23. doi:10.1016/j.ssmph.2019.100533
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31909168/
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352827319302204

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