世のなかには社会的に賞賛される人がいますが、そうした評価はどのように決まってくるのでしょう。富や名声といったものを超え、社会のなかで認められる人には、特定の共通した人柄や行為が大きく影響している可能性があることが米国の研究で報告されています。社会的に評価される人柄の特徴はどういったものがあるのでしょうか。
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14か国の人の人柄や行為を分析
友だち同士であれば親切な行動をとると評価されるかもしれませんし、仕事をしていれば、業績がよければ評価されるかもしれません。その人の評価は置かれている状況によって変わってくるようにみえます。そうした評価に共通したルールはあるのでしょうか。
米国テキサス大学の研究グループは、社会的なつながりの課題を考えるうえで、人のまわりからの評価に注目して研究をしてきました。人間の歴史において食べものを取ったり、縄張りを競ったり、協力関係を築いたりするときに、評価を得て地位を獲得することは重要と考えら、文化や男女での違いも含めて調べています。対象としたのは、14か国の男女2751人です。研究グループは、行為、性格、出来事などを含む人の印象を決める240個の要因を比較し、どういった特徴が他者からの評価を上げ下げするのかを分析しました。
世界中の共通点は「知的」「誠実」
ここから見えてきたのが、14か国に共通して広く評価される人柄は「知性」と「誠実」でした。このほか社会的な地位向上につながるのは、正直、勤勉、親切、知性、幅広い知識、自己犠牲、ユーモアのセンスといった人柄でした。
男女どちらでも社会的な地位を向上させたのは、他者を助ける能力や助けようとする姿勢。勇敢で身体能力が高くて、仲間を守るためにはリスクもいとわないといった姿勢が大切だとみられました。女性の場合は、家事をうまくこなし、魅力的であることが評価に。ユーモアのセンスがあることは広く評価されましたが、国による違いも。ポートランドにおいては強力に地位を向上させる後押しになる一方で、中国、韓国、日本ではある程度の評価にとどまっていました。
男女どちらでも、性にだらしないのは社会的な地位を低くする要因に。特に女性のほうが影響は大きいという結果です。反対に、長く安定した異性関係を築いていると男女のいずれでも社会的地位を高め、女性でよりその傾向が強くみられました。このほか盗み、不潔、嫌み、悪意、性病といった特徴は評価につながらない要素です。
評価は仕事でも私生活でも重要な要素。研究を参考にしてみるのもよいかもしれません。
<参考文献>
Social Status Helped and Hindered by the Same Behaviors and Traits Worldwide
https://news.utexas.edu/2020/06/02/social-status-helped-and-hindered-by-the-same-behaviors-and-traits-worldwide/
Buss DM, Durkee PK, Shackelford TK, et al. Human status criteria: Sex differences and similarities across 14 nations [published online ahead of print, 2020 May 28]. J Pers Soc Psychol. 2020;10.1037/pspa0000206. doi:10.1037/pspa0000206
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32463270/
https://doi.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspa0000206