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物事をうまくいかせる秘訣。「コミュニケーションが大事」ってよく言われるけど…実際の「効果」は?

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公園で雑談する3人の女性

何かの問題にみんなで取り組まなければならないときは、自分の気持ちや希望を伝え合うことが大切。そんな興味深い実験結果が報告されました。みんなの問題と言っても、自分のメリットを考えたりすることもありますが、少しでもコミュニケーションがあると、本来の善意が引き出され、よい結果につながりやすくなるというのです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

自分のため? みんなのため?

男性と議論する女性

新型コロナウイルス感染症のなかでも似たような話題はありますが、人の社会では全員の利益と個人の利益のバランスをとるのはなかなか難しいことがあります。大きな問題として、たとえば地球規模の「気候変動」。社会全体を考えると全員が協力すべきですが、個別の利益のために足並みがそろわず問題になっています。これと同様、職場で自分の仕事だけやって、全員のための仕事をしない、というのも当てはまるかもしれません。

今回、こうしたジレンマを解決する手段として、コミュニケーションがどれくらい効果的なのか、日本と中国の研究者が参加した国際的な研究グループが実験を試みました。世界33か国から500人以上の学生を集めて行われた実験では、参加者を3人、7人、11人のグループに分け、全員が出資してグループの目標額を達成するコンピュータゲームをしてもらいました。最初にそれぞれが同額の資金を渡され、10回の出資機会に少しずつ出資できますが、最終的に目標額に到達しないとすべてを失い、到達した場合は手元に残っている資金が自分のものになるというもの。なるべく多くの資金を手元に残しながらも、目標をいかに達成するかが難しいところ。グループの目標のため、自分の手元の資金のためというジレンマがあります。

そのうえで、研究においては出資をする機会の合間に「わずかなコミュニケーション」を加えて行った半数と加えなかった半数とで、ゲームの結果を比較しました。コンピュータ画面上で「目標額に達すると思うか?」といった簡単な質問にイエスかノーで答えてもらい、集計をグループ全員に伝えるだけのコミュニケーションです。

もともと協力的な人に有効

雑談する女性たち

ここから見えてきたのが、グループの人数やメンバーの文化的背景にかかわりなく、コミュニケーションを加えたほうが、目標額に達する確率が2倍近く高かったことです。さらに、コミュニケーションの効果があったのは、もともと協力的な傾向がある人で、それぞれの意思に任されている場合は出資をためらっても、ほかの人の協力的な気持ちを知ると、積極的にグループの目標のための資金を出すようになりました。もともと自ら出資する気がない人は、コミュニケーションにほとんど注意を払わないとわかりました。

グループの人数が多いほど、あと少しのところで目標額に達しないケースも見られました。コミュニケーションの効果が期待できる人も協力しないことが出てくるのです。協力する素地のある人たちにいかに協力を引き出してもらうかが大切。そのためにコミュニケーションをうまく使うのが重要です。

職場などでも基本的にはみんなに協力しようと集まっている人たちですから、話し合いをもつのが全体を高めるコツと言えるかもしれません。研究グループによれば、「善意に働きかけることがポイント」。また、貢献する意思がない人たちを説得しようとしてもあまり効果がなさそうと研究グループは指摘しています。みんなで目標を達成せねばならないときなどに参考にするとよいかもしれません。

<参考文献>

We need to talk: Communication prevents inaction by leveraging goodwill
https://www.titech.ac.jp/english/news/2020/047245.html

Wang Z, Jusup M, Guo H, et al. Communicating sentiment and outlook reverses inaction against collective risks [published online ahead of print, 2020 Jul 15]. Proc Natl Acad Sci U S A. 2020;201922345. doi:10.1073/pnas.1922345117
https://www.pnas.org/content/early/2020/07/14/1922345117
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32669434/

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