自分のことを気にかけてくれて、必要なときには手を貸してくれる─。そんな家族や友だちがいるのはいいことですよね。身近な存在の人は多いほど心強いとも思えます。でもこのたび、たとえ頼りになる家族や友だちがたくさんいなくても、親しい間柄を築いていれば、十分に心強い存在になることが報告されました。単に家族や友だちがいるというよりも、強い支えになるそうです。
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友だちはたくさんいたほうがいい?
新型コロナの影響でストレスや悩みが募りがちな日々、友だちや家族とのコミュニケーションは救いになることもあります。一方で、身近に頼れる友だちや家族が多くはないと嘆く人もいるかもしれません。社会人になって人間関係が職場に限られたりすると、なかなかプライベートでも仲のよい友だちがつくりづらいという状況もあるでしょう。
今回、米国ニューヨーク州立大学などの研究グループは、オンラインでアンケートを行い、友だちや家族との関係性、得られるサポートとの関係について分析し、報告しています。
研究グループは2段階に分けて調査しており、まず339人を対象に頼れる人との親密さと受けられるサポートに対するとらえ方について調べています。
具体的には、過去6か月の間に手助けを求めた人を8人挙げてもらい、どれくらいのサポートを受けたかを1〜7のレベルで示してもらいます。その人たちがお互いにどれくらい親しいかも、1(知らない同士)〜7(とても親しい)のレベルで示してもらいました。
すると、たいていの人が挙げた名前は友人や家族の名前でした。そのほか同僚や恋人、ルームメイトを挙げた人もいました。そのうえで、頼れる人たちがどれくらい親しいか、サポートを受けられるつながりの強さを「密度」として計算したところ、密度が高いほどつながりが強くて、親密であるほど社会的なサポートを受けているととらえていることがわかりました。これについて研究グループは「結束の強いグループの一員と思えるため」と解釈しています。
グループとしてのつながりが重要
さらに、研究グループは240人を対象として、手助けが必要なときに頼れる4人組を2グループ挙げてもらいました。1つのグループは親しくない4人組、もう1つは親しい4人組。それから自宅が壊れてしまった場合を想定してもらって、半数には特に親しくない4人組、残りの半数には親しい4人組にサポートを求めた場合を想像してもらいました。
ここから見えてきたのが、親しい4人組に助けを求めるほうが、無関係の4人組に助けを求めるよりもサポートを受けやすいととらえていること。考えてみれば当たり前かもしれませんが、結束の強さは自分との距離の近さになり、結局、心強さやサポートの強さにつながる証拠でもあるというのが研究グループの考え方です。
「頼れる家族や友人のネットワークで重要なのは、その人数だけではない」と研究グループは指摘。日々の生活で支援が必要だったり、孤独を感じたりしたときは、親密であるかどうかが重要というわけです。家族や友人との関係を考えるとき、親密さを高めようとすることを心がけるとよいのかもしれません。
<参考文献>
Why some friends make you feel more supported than others
https://news.osu.edu/why-some-friends-make-you-feel-more-supported-than-others/
Lee DS, Stahl JL, Bayer JB. Social Resources as Cognitive Structures: Thinking about a Dense Support Network Increases Perceived Support. Social Psychology Quarterly. September 2020. doi:10.1177/0190272520939506
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0190272520939506