今、イタリアでは空前の自転車&電動キックボードがブームです。今年の自転車購入台数は昨年比60%増の200万台ほどになりそうなのだとか! 売り切れのお店も続出していて、イタリア中の自転車屋さんたちはどこも大繁盛。ブームの理由、じつは新型コロナウイルスと大きく関係しているんです。
Contents 目次
空前の自転車&電動キックボードがブームになっているイタリア。なぜブームになっているのかというと、新型コロナウイルス感染拡大の「第1波」での外出規制が解除されたあと、イタリア政府が公共交通機関の密を防ぐために、自転車や電動キックボードなどを利用して移動することを推奨し、「移動対策補助金」というものを支給したためです。
具体的には、2020年末までに該当する自転車などを購入すると、最高500€(約63,187円※2020年12月18日時点の1€=126.375円で換算)までで、購入額の60%を国が負担するというもの。
また、現在都市を中心に、自転車専用道路が建設されています。ミラノでは、もともと新型コロナウイルスが流行する前から、空気汚染の対策として自転車を推奨し、自転車専用道路の工事が進められていましたが、今回の移動対策補助計画により、さらに計35kmが増設される予定です。そのぶん、自動車にとっては1車線減ることになるので、一部からは非難の声も上がりましたが、工事は続行されています。またそれに伴い、シェアリング用の自転車や電動キックボードの大幅増数もなされています。
そんな中、自転車をしのぐ勢いで人気となりつつあるのが、電動のキックボード。自転車のようにこがなくていいので、汗だくにならなくてすみますし、洋服に気を遣う必要もありません。そのため、通勤に使うスーツ姿のビジネスマンや、ミニスカートをはいた若い女性などが利用している姿もよく見かけます。
電動キックボードは自転車より値段が高いため、購入派よりシェアリング派が多いようで、シェアリングの新規登録者は自転車が前年比の約2倍なのに比べて、電動キックボードは約5倍もアップしたのだとか。一方で、電動キックボードは本来車道か自転車専用道路を走らなければならないのですが、歩道で利用する人がいることが問題になったり、自動車との接触事故も頻発していたりして、今後ヘルメットの着用義務や罰金の制定などの介入を求める声も。
突然訪れた空前の大ブームゆえ、あらゆる面で改善すべきところはたくさんありますが、感染予防だけでなく、環境対策にも健康のためにも、自転車や電動キックボードはよいので、筆者としては、人気がこのまま定着することを期待してしまいます。
そして、新型コロナウイルスが終息し、海外を自由に、安心して行き来できるようになったとき、イタリアに旅行などで訪れた際には、シェアリングサービスの自転車や電動キックボードなどを利用して観光するのもオススメですよ!
取材・文/田中美樹