好きなことや興味のあることを仕事にすれば満足できるはず──そんなふうに一般的には考えられています。キャリア指導や人事などでも、関心分野を第一に考慮する傾向も。このたび、本当にそうかというと、じつはそれほど満足にはつながらないという報告がありました。関心のある仕事かどうかよりも、大切な要因があるようです。
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65年にわたる研究データを分析
関心分野の評価が満足できる仕事を見つけるためには重要なのではないか? そのように考えられ始めたのは1940年代のことだそうです。日本でも自分の関心のある仕事を見つけるように、学生時代から指導されることはあるでしょう。就職してからも関心のある仕事を探そうと多くの人が悩んでいると思われます。
米国でもそうした状況は同じであるようです。現在、自分がどんな仕事に向いているのかを調べるサイトに毎月100万件ものアクセスがあるそう。ただ、興味がある仕事に就けば満足するのかどうかは謎でもありました。これまでにさまざまな研究が行われてきましたが、結果は必ずしも一致していなかったのです。
そこで、米国の研究グループは、1949〜2016年(65年間)にわたるこのテーマの研究105件(参加者合計4万人近く)のデータをまとめて分析。関心分野の仕事が本当に満足感につながるのかを検証してみました。
興味のある仕事なら昇給・昇進につながる
こうしてわかったのは、興味のある分野であればたしかに仕事の満足につながるものの、期待したほどの関連性はないということ。仕事の満足度に関係するほかの要素は別のところにあるようでした。それは、どの会社・組織であるのか。または上司や同僚が誰であるか。それから給与です。言われてみれば当たり前ではありますが、仕事に興味があるかどうかは意外と仕事の満足度につながらないのが事実というのが分析の結果でした。
ただし、関心があるかどうかは、仕事の成績とそれに伴う昇給や昇進に関係することがわかりました。この結果から、仕事で満足を得るには、興味のある仕事かどうかはそれほど気にしなくていいと研究グループは指摘。嫌いな仕事でない限り、上司がよくて、同僚とうまくいき、会社の扱いが公正であれば、十分満足できると述べています。また、興味分野の評価はよい成績を挙げて、より高い報酬がもらえるようにするキャリアアップに役立つとしています。
ということは、まずは会社や同僚などで会社を選ぶのがいいのかもしれません。そのうえで、スキルを蓄え、自分の興味や関心を確かめながら仕事の選択に活かしていく。過去の研究から考えると、そんなキャリアアップがよさそうです。
<参考文献>
Kevin A. Hoff, Q. Chelsea Song, Colin J.M. Wee, Wei Ming Jonathan Phan, James Rounds,
Interest Fit and Job Satisfaction: A Systematic Review and Meta-Analysis,Journal of Vocational Behavior,2020,103503,ISSN 0001-8791 https://doi.org/10.1016/j.jvb.2020.103503
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0001879120301287
Job Interest Not a Big Predictor of Job Satisfaction
https://www.uh.edu/news-events/stories/2020/november-2020/11112020-kevin-hoff-interest-job-satisfaction.php