コロナ禍の1年。自粛や規制で人との接触が減り、孤独を感じる人が増えるのも無理もないこと。こうした孤独を和らげるための方法についての研究が進んでいます。このたび海外のグループが、ふだんのささやかなルーティン、習慣のようなものがあると孤独が和らぐと報告しました。それはお茶の淹れ方といった簡単なことでもいいそうです。
Contents 目次
「儀式=ルーティン」が人生に意味をもたらす?
過去の研究から考えられているのは、「常に孤独感を抱いている人は、人生に意味を見出せないでいる場合が多い」ということ。たしかに人生の意味を見出せなくなると、無力感が強まり、引いては孤独感につながるのかもしれません。逆にいえば、人生における何らかの意味、意義をもたらしてくれる出来事が増えるのは大切ともいえます。
今回、アメリカと中国の研究グループは、日ごろ接しているさまざまなモノに関連したルーティンにも、孤独をいやす作用があるのではないかと調べることにしました。たとえば、朝のコーヒーは必ずここで買う、クリームサンドビスケットを食べるときは、必ず半分に割って先にクリームをなめるといったような、家族や仲間うちの、あるいはその人だけの独特な習慣、儀式です。日々のいわば日常生活でのルーティンの効果を分析したのです
研究への参加者にはまず、どれくらい孤独感をもっているかを評価するテストを行ってから、ふだん使っているモノに関して何かルーティンのようなものがあるか尋ねました。次に孤独感を抱くような作業に取り組んでもらい、その後、自分がふだん行っているルーティンをやってもらう、あるいはやっていると想像してもらいました。
想像するだけでも効果あり
ここからわかったのが、簡単な日常のルーティンが孤独感を和らげる効果をもたらしてくれるということです。具体的には、孤独になってしまう作業に取り組んだあとでも、その人独自のルーティンを行うと(あるいは想像するだけでも)孤独感が和らいでいました。さらに、強い孤独感をもっている人には、日常生活で接するモノのブランドや使い方にこだわる傾向が強く見られました。
研究グループは、モノの買い方や使い方に対する独自のルーティンをもつことで、その人に何らかの意味や他者との共有意識をもたらしているのではないかと指摘。孤独になったら、そんなルーティンを見つけるようにしてはどうかと提案しています。効果のほどはまだまだわからないところはあるものの、孤独を感じたときに、決まってコーヒーを入れたり、手芸をしたり、習慣的な行動を毎日続けてみると思わぬ効果が現れるのかもしれません。
<参考文献>
Lonely? These odd rituals can help
https://news.ucr.edu/articles/2021/03/03/lonely-these-odd-rituals-can-help
Wang X, Sun Y, Kramer T. Ritualistic Consumption Decreases Loneliness by Increasing Meaning. Journal of Marketing Research. February 2021. doi:10.1177/0022243721993426
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0022243721993426