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今いる場所にポジティブなマインドを持ち込もう。住職が説く、しがらみを脱出し心を軽くする禅の教え
余計な不安を抱えず、他人に振り回されず、ありのまま生きるには? 悩みのもととなるしがらみから自由になり、ふっと心が軽くなる禅の教えをご紹介しましょう。NY在住、禅とマインドフルネスの橋渡し的存在として活動する臨済宗妙心寺派佛母寺住職、松原正樹さんの著書『心配ごとや不安が消える 「心の整理術」を1冊にまとめてみた』からお伝えします。
Contents 目次
日常を輝かせるのも心のとらえ方しだい
2泊3日の旅行では、その数日間はとても充実していて楽しいひとときになるものです。とらえ方しだいで日常も同じようにすることができるのです。
「人生100年といわれて久しいですが、長い地球の歴史から見れば、100年なんてほんのわずかな時間です。私たちは限られたかなり短い時間この地球にビジターとして生きているだけ。そう考えると今日の1日がとても貴重に思えてきます。今この瞬間を大切に生きようと前向きになれます。同じ場所にいても、どういう態度や心境で接するかによって、見える世界はガラリと変わります。だからこそ、地球のビジターであることを常に心に刻んでおきたいのです」(松原さん)
限られた日数の旅行で、相手につき合ってばかりであちこち振り回されたとしたら不満や後悔ばかりが残ってしまいます。人生もまったく同じで、後悔しないように生きるためには自分で決断をすることが重要。
「“自分で決断する”とはいっても、それは周囲からの声やアドバイスを無視しなさいと言っているのではありません。それらの声は自分の素直な心に気づかせてくれる特効薬です。そして心配性の人は、“人からどう見られるか”など、他人の目や社会の目という実体のない要素を持ち込んでしまいがちですが、心を添わせるのは“こうしたい”という自分の気持ちだけにしておきましょう。自分の素直な気持ちをキャッチできたら、そこが思考のやめどきです」
今いる場所にポジティブなマインドを
地球にいるおよそ100年の間、そこで出会う人も奇跡といっていい確率です。苦手な人がいたりして職場や友人、近所の人間関係に悩むこともありますが、どんな人も貴重な限られた時間を共有している相手ということになります。
「私の苦手な〇〇さんではなく、この一瞬を共有する貴重な相手ととらえてみると、心が軽くなるのを感じます。この時間が早く過ぎ去るように、と願うのではなく、二度と戻らないこの時間を少しでもよいものにしようと思えば、自分の態度が変わります。今いる場所に、ポジティブなマインドを持ち込みましょう。あなたのその前向きな姿勢にほかの人の共感が重なると、そこにハーモニーが生まれます」
茶の湯の精神である「和敬清寂」は、心を和らげて敬い合い、その空間がプラスのエネルギーで満たされていることを示しています。オフィスでも電車のなかでも、どの場所であろうと、自分もそのハーモニーを奏でるひとりなのだと思うことを忘れずにいたいものです。
禅の教えから生きることを楽しむことの大切さが伝わってきますね。忙しい毎日のなかでちょっと心が重たいと感じたら、こんな禅のフィルターを通して毎日を見つめ直してみるといいかもしれません。
次回は、将来に対する漠然とした不安を軽くするためのヒントを紹介します。
参考書籍/
『心配ごとや不安が消える 「心の整理術」を1冊にまとめてみた』(アスコム)
文/庄司真紀