メンタルがポジティブだと、うつ病などの精神的な問題がないということ以上に、体の病気も含めてリスク低下につながるという証拠が集まりつつあるそう。このたび海外研究から、楽観的な人は、人種や民族に関係なく寿命が長く、90歳以上まで生きる確率が高いという報告がありました。不思議なことに、運動や食事などのライフスタイルとは別の要素が影響している可能性があるようです。
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米国女性16万人近くのデータを調査
今回の報告を行ったハーバード大学など米国の研究グループは、以前、白人女性を対象とした研究から、楽観的な人ほど寿命が長かったり、85歳以上の寿命を生きる人が多かったりすることを発見していました。こうした結果はもっと多くの人に当てはまるのではと研究グループは考えて、今回、あらためてさまざまな人種や民族を含んだ米国女性16万人という大規模なデータ分析することにしました。
そのデータは、メンタルテストを含むいろいろなアンケートに答えたうえで、病気や死亡の情報も集めた、最大26年間の追跡調査に参加した人々のものです。
このデータから参加者の基本的な情報を調べたところ、楽観的な人は運動や食事などの点でヘルシーなライフスタイルをとる傾向があるようでした。そこで、楽観的な性格であることとライフスタイルを含めて、長寿とどのようにつながるのかを分析しました。
病気になりにくいからではない
こうしてわかったのは、楽観的な度合いが高いほど寿命が長くなる傾向があったほか、90歳以上まで生きる人の割合も多くなるということ。
具体的には、楽観的な性格のレベルについて全体を4つに分けると、最も高いグループは最も低いグループに比べ、寿命が5.4%長く、90歳以上まで生きる確率も10%高くなっていました。この結果は人種や民族とは関係なく、また社会的背景や生活習慣病やうつ病を含めた慢性的な病気とも無関係でした。定期的な運動やヘルシーな食事といったライフスタイルによる影響も意外に大きくない結果でした。
つまり楽観的な人は、病気が少ないから、またはライフスタイルが健康だから長寿であるというよりは、楽天家であるということ自体が長寿につながるようだというわけです。どれくらい楽観的になれるかは、人種や民族も含めた社会的な要素によって影響されるかもしれません。しかし、気持ちの持ちようはこれまで以上に大切に考えられるようになるかもしれません。
<参考文献>
High optimism linked with longer life and living past 90 in women across racial, ethnic groups
https://www.hsph.harvard.edu/news/press-releases/optimism-longevity-women/
Optimism, lifestyle, and longevity in a racially diverse cohort of women,
https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.17897