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「1人でいること=孤独感があり寂しいとは限らない」 幸福学博士が教える、孤独でも幸せな人とそうでない人の違いとは?
社会全体のつながりの希薄化や新型コロナウィルスの影響などを受けて、以前のように家族や友人、職場の同僚に会えず、社会的な孤立を感じている人が増えています。孤独による寂しさは、心身の不調を招き、病気のリスクを高めることがわかっており、こうした“孤独病”はかねてより世界的な問題になっていました。今回は、幸福学の第一人者・前野隆司さんの著書『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』よりお伝えしていきましょう。
Contents 目次
日本人の約4割が単身世帯に
社会的な問題となっている孤独。 2017年にアメリカ心理学会で「多くの国々で孤独伝染病が蔓延している」と警鐘が鳴らされました。2018年にはイギリスが世界に先駆けて『孤独担当大臣』を任命。孤独に対して先進的な取り組みを始めています。
そしてイギリスに遅れること3年、ついに日本でも2021年2月から内閣官房に『孤独・孤立対策担当室』が設置され、大臣が任命されています。
日本では生涯未婚率や単身世帯数の推移を見てもわかるように、1人で暮らす人たちが確実に増えてきています。2030年には、男性は3人に1人、女性は4人に1人が生涯独身の時代を迎え、2035年には日本人の約4割がひとり暮らしとなると予想されています。
ひとり暮らしは孤独感をつくる大きな要因であることに間違いありませんが、「1人でいること=孤独感があり寂しい」とはならないことが重要なポイントです。
1人は悪くない、問題なのは「孤独感」
1人でいても苦痛を感じず、疎外感なく、幸せに生きている人はいます。反対に周囲に人がいても“心の通じ合う人がいない”、“誰からも必要とされていない”、“受け入れてもらえない”と孤独を感じる人もいます。
「孤独とは自身の周囲に人が少ない状態を指しますが、孤独感とはあくまで本人の感じ方です。幸せを遠ざけているのは、物理的に1人であっても、そうでなくても心に巣くう孤独感のほうなのです」(前野さん)
要するに孤独であることそのものが決して幸せを遠ざける要因にはならないということ。
「孤独であることは、自分にすべての選択権があるということでもあります。自由になるために孤独になるという選択肢もあるのです。そして孤独感は対人関係における苦しみのひとつということもでき、常識に縛られ、周囲と自分を比較し、意味もなく無力感に陥る悪い心のクセにとらわれているのです」
孤独感とは真逆にある“幸せな孤独”。パートナーや家族がいないという孤独である事実は変えられませんが、孤独をわざわざネガティブにとらえることはないのです。
孤独感は長い時間をかけて人の心や体を蝕んでいきます。単身世帯が増える現代ではこの“幸せな孤独”を手に入れられないままでいると、孤独感が早期死亡リスクを跳ね上がらせてしまいます。それが、各国が対策を急いでいる理由でもあります。次回、1人でいても幸せでいられる“幸せな孤独”について詳しくみていきましょう。
参考書籍/
『幸せな孤独 「幸福学博士」が教える「孤独」を幸せに変える方法』(アスコム)
文/庄司真紀