食料品をはじめ、電気やガス代などの値上がりが続き、じわじわと家計がダメージを受けている今夏。続く物価高を乗り越えるために、家計管理ではどのような工夫ができるのでしょうか。今回は日々の食費を節約する方法について、消費生活アドバイザーの和田由貴さんに具体的な対策をうかがいました。
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値上げラッシュのいま、できることは?
食料品やガソリンなど、物価が軒並み上昇した2022年前半。価格が上昇したのは、パンなどの小麦粉商品に続き、電気やガス、ティッシュペーパーと、家計に直結するものばかり。急にやって来た円安に戸惑った人は多いはず。こうして値上がりが続くと、節約して少しでも無駄を減らしたいと思うものですが、和田さんは、物価の上昇だけが家計を圧迫している背景ではないと考えます。
「物の値段が高くなっていることはもちろんですが、食については、各家庭でかなりのロスがあります。この食品ロスをいかに減らせるかが、節約の要になるでしょう」
安く買うよりも“使い切ること”の方が重要
食費の節約といえば、いかに安く買うかが重視されがち。ところが和田さんは、「いちばんの節約は、ムダなく買ってすべて使い切ること」と指摘します。
「日本は非常に食品ロスが多く、1人当たり1日茶碗1杯分の食品をムダにしていると言われています。これを金額に直すと、一般的な家庭でも年間6万円をムダにしている計算です」
たしかに節約をしようと思っているのに、そもそも月5千円もムダを出しているとすれば、そのロス分をなくすことで、多少の値上がりもフォローできそうに感じます。大切なのは、「いかに安く買うかではなく、いかにムダなく使い切るか」と和田さん。
「じつは、家庭から出る食品ロスの約半分が野菜です。肉や魚は冷凍保存しやすく、加工食品は賞味期限が記載されているので、その期限内に食べ切ろうと意識します。しかし、野菜の場合は明確な賞味期限があるわけではないので、料理をしなければ放置してしまいがち。気がついたら水分が抜けてカラカラになっていたり、腐っていたり…という経験は、おそらく誰しもあるのではないでしょうか。購入した野菜をムダにすることなく、きちんと使い切ることこそ、賢い節約の考え方です」
カット野菜や冷凍野菜のほうが、コスパがいい!?
毎日料理をしたとしても、家族の人数によっては食材が使い切れないことはあります。特にひとり暮らしの場合では、生野菜を購入しても食べ切るまでにかなり時間がかかることも。
「そこで活用したいのが、カット野菜や冷凍野菜です。たしかに購入時には生野菜のほうが割安ですが、家族が少ないと大量に購入しても使い切れません。使い切れずに残ってしまうこともイメージして、生野菜は確実に使い切れる量を買うようにしましょう。お弁当に野菜で彩りを出したいと思っても、使い切れるかどうかわからないとき、ちょっと入れるだけなら割高でも冷凍野菜を使うのもアリ。種類も豊富で、確実に使い切れますよ」
また、和田先生が実践しているのは、野菜室を開けて、最初に目につくところに使いかけの野菜を置くこと。「早く使ったほうがいい小さくなった野菜は、100円均一のカゴなどに入れて、野菜室のなかでもいちばん目のつくところに置いておきましょう。使うべき野菜と目が合うように工夫して!」とアドバイスします。
食品ロスを出しやすい人は冷蔵庫に“便利調味料”が多い⁉
いまは、和えるだけの便利な調味料が数多く販売されていますが、「○○のたれ」や「〇〇の素」といった便利調味料を多用していると、どうしても食費は高くなると言います。
「こういった便利な調味料は、味や使用方法が限られているなど、使い勝手があまりよくなく、結果的に少しだけ残ってしまうことがよくあります。結局使い切れず捨ててしまうことになるので、食品ロスに。節約ができないと言う人ほど、このような調味料が冷蔵庫に並んでいることが多いです」
気に入って頻繁に使っているものであれば問題はないものの、習慣的になんとなく買ってしまい余らせているような場合は、そういった積み重ねが原因で食費が高くなっている可能性があるそう。一度、冷蔵庫に使いきれずに余った便利調味料がないかチェックしてみましょう。ムダを防ぐためには、たれやドレッシングは手元にあるシンプルな調味料を合わせて作るのも一案です。
「食材が使い切れる方法を考えるのが食品ロスを減らすためのポイントです。また、なんとなく便利調味料や市販の調理補助食品を多用して、結果的に食費が6万円かかった人と、やりくりをして4万円だった人が差額の2万円でちょっといい食事に行くのでは、月の食費は同じ6万円でもお金の価値が変わってきますよね。適当に使ってしまうより、節約して捻出したお金でおいしいものを食べるほうが、有意義なお金の使い方だと思いませんか?」
食品をムダにしないよう工夫することも、生きたお金の使い方のひとつ。どう買うかよりも、まずはどう使い切るかで、買い物をしてみましょう。
取材・文/番匠 郁