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園芸はどれくらい健康にいい? 海外研究が注目する「コミュニティーガーデニング」のチカラとは
園芸やガーデニングは思ったよりも体力を使うアクティビティーといってよいかもしれません。じつは、今、一種のフィットネスとしての価値が新たに注目されているのです。海外研究によると、なかでも地域の人が一緒に園芸に参加する「コミュニティーガーデニング」が心身の健康を保つ効果につながりやすいそう。体を動かすことに加えて、食物繊維の摂取量が増えるなど幅広い効果が期待できるといいます。
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初の「ランダム化比較試験」で効果を検証
コミュニティーガーデニングは地域で共有された庭で近くに住む人々が一緒に園芸やガーデニングに参加する活動です。日本でもそんな活動が広く行われています。コミュニティーガーデニングは、屋外で運動する機会が得られるだけでなく、園芸やガーデニングを通じた人とのふれ合いによってメンタルにもよいといいます。果物や野菜を作るため、それらの摂取量が増えることが健康にもつながるのではないかと考えられています。
そこで今回、米国の研究グループは、300人近くをランダムに、コミュニティーガーデニングに参加するグループと参加しないグループの2つのグループに分けて比較する研究を行い、心身両面での効果を検証してみました。このような研究は「ランダム化比較試験(RCT)」と呼ばれ、有効性を評価するうえで信頼できる手法として知られています。コミュニティーガーデニングについて行われたランダム化比較試験は初めてではないかと研究グループは説明しており、正確に効果を測ることができることになります。
対象は、コロラド州デンバーのコミュニティ・ガーデンに参加するために順番待ちをしている、年齢も人種・民族もさまざまな291人の男女です。参加者はランダムに2グループに分けられました。一方のグループは春からガーデニングを始め1年間継続し、もう一方のグループは最初の1年間はガーデニングに参加せず、翌年からガーデニングを始めました。それから両方のグループに対して、開始前・秋・およそ1年後の3回、身体測定やメンタル面の検査、食事内容などのさまざまな調査のほか、アクティブトラッカーを1週間装着して測定した身体活動量などの記録からグループそれぞれの変化を比較しました。
心身の健康につながる要素が改善
こうしてわかったのは、コミュニティーガーデニングを続けたグループのほうが、複数の面から健康につながる効果を得られることです。
具体的には、ガーデニングに参加したグループは食物繊維の摂取量と身体活動量が増えていました。秋の時点で、食物繊維の摂取量はガーデニングに参加しなかったグループより平均して1日1.4g増え、中位〜強度の身体活動量は週におよそ40分の差がありました。
また、ストレスと不安感のレベルも低下。研究開始時にストレスや不安感が強かった人ほど、大きな低下が見られました。
米国では、食物繊維の平均1日摂取量が推奨量(25〜38g)よりかなり低い16gとなっており、身体活動量も週に150分の推奨量を満たしている割合が人口の4分の1だといいます。そうした現状を踏まえると、今回見られた結果は上々といえそうです。
コミュニティーガーデニングにはさらに、自然の環境で友人などと一緒に過ごし、交流することによる心身の健康を改善する要素があると研究グループは指摘しています。園芸やガーデニングを楽しむときには、友だちや近所の人と一緒に取り組むとなおよいのかもしれません。
<参考文献>
The scientific reasons you should resolve to start gardening in 2023
https://www.colorado.edu/today/2023/01/05/scientific-reasons-you-should-resolve-start-gardening-2023
Litt JS, Alaimo K, Harrall KK, Hamman RF, Hébert JR, Hurley TG, Leiferman JA, Li K, Villalobos A, Coringrato E, Courtney JB, Payton M, Glueck DH. Effects of a community gardening intervention on diet, physical activity, and anthropometry outcomes in the USA (CAPS): an observer-blind, randomised controlled trial. Lancet Planet Health. 2023 Jan;7(1):e23-e32. doi: 10.1016/S2542-5196(22)00303-5. PMID: 36608945.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36608945/