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働く女性の健康問題と生きづらさの解決を目指す! 新しいコミュニティ「marbleMe(マーブルミー)」に注目!
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一般社団法人日本フェムテック協会(以下、日本フェムテック協会)が、フェムテックやフェムテラシーをテーマにした「ランチタイムウェビナー」を毎週火曜12:00~12:30に定例開催中。今回は、そのアーカイブの中から、「働く女性のための新しいコミュニティのあり方~女性の健康課題から考えよう~」をピックアップ。司会の日本フェムテック協会理事・山田奈央子さんが「marbleMe(マーブルミー)」の鬼武辰憲さんと堀内美沙子さんに登壇していただき、女性特有の健康課題解決を対話でサポートするデジタルコミュニティ「marbleMe」について話を聞きました。その内容を紹介します。
Contents 目次
身近な人には話しづらい悩みを明かせる場として開設
「marbleMe」は、自分と同じような悩みを抱える人たちと対話することで、悩み解決のヒントなどをもらおうという趣旨のコミュニティサイト。このサービスを導入している企業で働く女性従業員が利用することができ、チャット形式でトークルームに参加できたり、専門家にアドバイスを求めたりできます。
山田:さっそくですが、この取り組みについて説明してもらえますか?
鬼武:健康問題、育児、出産、キャリアプラン、介護、リタイアなど働く女性が抱えるさまざまな悩みをデジタル上のコミュニティ「marbleMe」で解決し、生産性や職場での働きやすさを向上していこうというサービスです。女性の健康問題で多いのは不定愁訴。不定愁訴というのは、簡単にいうと原因のよくわからない“なんとなく不調”のことで、女性の2人に1人が不定愁訴だといわれます。でも、多くの人がガマンして働いている。なぜ病院に行かないのか聞くと、「気のせいと言われるだけ」「相手にされない」「説明できない」という答えが多いんです。
鬼武:データを見ると、月経や更年期でパフォーマンスがだいたい半分以下になるということがわかります。なんと、「更年期症状を理由に昇進を辞退したことがある」という人もとても多いんです。「自分の健康問題に懸念があるのに責任あるポジションに就けない」と考えるのは自然なことなので、これは周りがサポートしていく必要のある課題だと思いました。
鬼武:ほかのデータからも「重い生理や生理前のとき、休みたかったが休みをとったことはない」という人が多いことがわかりました。また、自分の不調を理解してもらいたいのは、家族やパートナーよりも、職場の上司や経営陣と考えている人が多いこともわかりました。
ところが、上の円グラフからわかるように、「理解してもらいたいけれど伝えない」という人が47%もいるんです。伝えない理由は「人に話すものではない」「つらさを説明する方法がわからない」「周りが理解してくれないことがわかっている」というものでした。
鬼武:では、「身近な人には言えない」という人たちがどうしたいと思っているか聞いてみると、「自分と同じような症状の人の状況を知って自分の状況をより深く理解したい」という人が半数以上です。「話をすることで共感を得て安心したい」「解決策の参考にしたい」という人が多いのですが、「アドバイスをもらいたい」「ただ話を聞いてもらいたい」という人も少なくありません。
私たちはこういった現状をふまえたうえで、「女性特有の健康問題」と「生きづらさ」(仕事と結婚・出産・育児・介護などとの両立の難しさなど)が相互に関連していると考え、その両方の解決を目指すためのサービスを作ろうと思ったんです。
健康問題だけでなくキャリアに関するテーマへも発展中
山田:男性の鬼武さんが、どういうきっかけでこういうサービスを立ち上げたのですか?
鬼武:自分の家族がガマンを重ねたことで大きな病気になってしまったことと、チームのメンバーに更年期症状でとても悩んでいる人がいたこと、この2つがきっかけですね。家族に悩みを話せる相手がいても家で話ができる時間はわずかなので、職場は重要だと感じました。
山田:まったく知らない人に自分の悩みを話すのはハードルが高そうな気がしますが、一度ハードルを越えてしまえばオープンに話せるようになるのでしょうか?
堀内:そういう人が多いように思います。テーマごとに同じ悩みを持つ人たちが集まるので、「悩みを言っても理解されないかも」という不安がなく、知らない人同士でも話しやすいのではないかと思います。
鬼武:話しやすさというのは、職場が同じとか、性別とか、年代とか、あまり関係ない気がしますね。テーマを見てみんなが集まってくる。身近な人には話しにくいテーマだからこそ、初めて会った人のほうが話しやすいのかもしれませんね。
山田:実際にサービスを使われた女性たちからの反響はどうですか?
堀内:やはり「同じような悩みを抱える人の話を聞くことで気づきがあった」という声が多いのですが、「自分とは違う症状の人の話を聞いて、みんないろいろな悩みを抱えながら生きているんだと気づけてよかった」という感想もありました。「ここで得た対処策を実行したいと思った」という人も多く、「ちょっと行動を変えてみよう」と思ってもらえたというところに手応えを感じています。
山田:今日のテーマは「働く女性のための新しいコミュニティのあり方」なのですが、コミュニティとしての「marbleMe」の新しさはどこにあると思いますか?
鬼武:病気のときは医師の診察を受けて治療します。それに対して、健康ではないけれど病気でもないといったとき、非専門家・ボランティアとも協働したネットワークを活用して状況を改善していくのが我々のコミュニティ。自ら行動を起こして心の成長を促進させていくというイメージです。また、BtoBのコミュニティというところも特徴で、このサービスの参加企業の従業員のみなさんが、会社を横断して利用できるようになっています。
山田:健康課題だけでなく、キャリアなどに関するテーマも発展していきそうですね。
鬼武:すでにそういう流れがあって、トークルームでも「管理職を目指す気持ちが1mmもわかない」「不本意な人事異動」などおもしろいテーマが立てられています。48時間でトークが消えるシステムなので、みんな本音を吐露できるんです。そこから一歩ふみ込んで専門家に話したいという場合は、キャリアアドバイザーにも相談できます。
山田:すごくおもしろいし、興味深いですね。ただ、自分の会社がこのサービスに参加してくれないと、個人ではコミュニティに参加できないんですよね?
鬼武:そこは変えていこうと考えています。日本フェムテック協会ともいろいろ連携して、みなさんの手もとに届くようなサービスを作っていきたいと思っています。
山田:私たちもぜひ使ってみたいと思いますし、利用者の声などを反映して新しいサービスをどんどん作っていただきたいですね。今日は共感できるお話をたくさんしていただき、ありがとうございました。
健康や仕事などで悩みがあるときは、ひとりで抱え込まずに、こういったコミュニティなどに参加してほかの人たちと交流を持ってみるのもよさそうです。気持ちがラクになったり、問題解決のヒントが得られたりするかもしれません。
※本記事の内容は、2023年4月に配信された内容です。最新情報は公式サイトよりご確認お願いします。
「marbleMe」
https://www.marbleme.jp/
【登壇者】※2023年4月時点
鬼武辰憲 BIPROGY株式会社 「marbleMe」事業責任者。
堀内美沙子 BIPROGY株式会社 「marbleMe」プロジェクトメンバー。
山田奈央子 日本フェムテック協会代表理事、シルキースタイル代表取締役。
【クレジット/協力】
一般社団法人 日本フェムテック協会 スペシャルコンテンツ
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文/小高 希久恵