中国では入浴の際に湯船に浸かる習慣があまりありません。新築のマンションでも「シャワーのみ」という物件も多くあります。その代わり、街には足浴と呼ばれるフットマッサージ店があるので、脚のすねまで熱めのお湯に浸かる足の入浴が可能。ここでマッサージが始まる前までに、体をポカポカ温めることができます。
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中国ではスーパー銭湯が今、ブームに!
湯船に浸からない中国、ですが温泉は各地にあります。日本と同じ温泉、といっても水着着用が基本。老若男女が一緒に楽しく遊べる、温泉の湯を使ったプール、という言い方が正しいかもしれません。もちろん体を洗ったりせずに、家族や友だち同士でワイワイと遊ぶのが流儀。日本の温泉とは似て非なるものですね。
でも心配は無用。今中国ではスーパー銭湯や洗浴センターが流行しているのです。上海では、日本の会社経営のスーパー銭湯が特に人気。清潔感や安心感がうけて、休日や祝日前には入場に1時間も待たされる事態や、ニセモノの施設が登場する事件まで起きるほどの人気ぶりです。
日本の洗浴センター以外には、韓国式のものが多くあります。入り口で靴を脱ぐと、係の人が下駄箱に入れ鍵をくれるので、この鍵を持って館内で過ごし、最後に料金を支払うと靴を返してもらえる仕組みです。床暖房の効いたフロアをはだしで歩き、受付でチェックインしたら、まずは男女別の大浴場へ。ここにはタオル、シャンプー、リンス、ハブラシも完備。洗面台には化粧水の用意もあるので、手ぶらで来ても大丈夫。広々とした洗い場と温度別の湯船、あかすり台、サウナ完備。湯船に飛び込む前に体をちゃんと洗っているか、見回りに来るおばさんもいて、初心者が一喝されている場面もよく見かけます。中国の人はぬるめのお湯が好きなのか、熱めのお風呂は不思議といつもすいているのです。
さて、大浴場を出て専用室内着に着替えたら、上の階にある韓国式サウナや、床暖房のしっかり効いた広間で昼寝などして過ごします。男女別々だった友だちや家族とはここで合流して、館内のマッサージコーナーやレストランへ一緒に行く楽しみもあります。もちろん、おひとりさまでも大丈夫! 24時間営業の店舗も多く、時間を気にせずのんびりと過ごすことができるのもうれしいポイント。寒い冬や大きな湯船で手足を伸ばしたくなったとき、とても有難い施設です。
また最近では日本式を謳う洗浴センターも続々登場。全館畳張りに改装したり、岩盤浴の文字が躍る洗浴センターもあり、とても日本を意識しています。内装は桜の樹木や浮世絵の暖簾り、障子張りのとびらや床の間風の飾りも。というのも、日本風、日本経営の雰囲気を出すと清潔感や安心感がアップするからだそう。いずれも入浴、施設利用料は1500円前後、マッサージや食事、エステは別料金です。
中国の人が考える「日本風」を見るのも楽しいスーパー銭湯、ぜひ訪れてみてはいかがですか。
写真・文/伊勢本ゆかり