今年は例年になく長期の連休となるゴールデンウィーク。めったにない10連休に、国内・海外旅行など遠出を計画している人も多いのではないでしょうか。
チケットの手配や荷造りなどの準備といっしょに気にかけたいのが、留守中の自宅のこと。大型連休を楽しみに待っているのは、出かける人だけでなく、留守宅が増えるのを待っている空き巣も同じなのです。今回は、危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、長期間家を空ける際の防犯対策について教えていただきました。
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常に自分の家が狙われているという意識を
大通りに面していたり、高層階に住んでいたり、あるいはこれまでに空き巣に入られた経験がないことから、「まさか我が家に空き巣なんて入らないだろう」と思っている方もいるかもしれません。しかし、実はその油断がもっとも狙われるポイントなのです。
「たとえば高層階では窓の鍵を閉める意識の低い方が多かったり、オートロックのマンションでは玄関の鍵を閉め忘れる方がいたりすることが、空き巣にとっては好都合なのです。空き巣はどんな建物でも容易に入ってくると思って間違いありません。まずは自分の家が狙われているのだ、という意識を持つことがとても大切です」(危機管理アドバイザー・国崎信江さん、以下同)
不審者は不審な格好をしていない
玄関前や家の周りをうろうろしている人を見かけたら怪しいと思う人もいるでしょうが、もしもその人が工事業者の制服を着ていたり、手帳などを持ってメモを取っているサラリーマン風の格好をしていたりしたら、不審だと思うでしょうか?
「昨今では、どんな人が不審者なのか気づきにくい傾向にあります。工事の見積もりを取っているような雰囲気だったり、ガスメーターを調べているふうだったり、また、集団で動く犯罪者も多いので、一度狙われたら防ぐのが難しいほど入念に準備をしてやってきます。一見しただけでは不審者だとわからない姿をしていても、不審者かもしれないという疑念を持つことを忘れないようにしましょう」
大型連休に向けて心がけたい防犯対策9
それでは実際に外出する際、どのような防犯対策をするべきかを見ていきましょう。
1. 不在を知られないように音や光で対策する
不在を狙う空き巣は、事前に下見をして居住者の生活スタイルや行動パターンを調べていることが多いそうです。「外から見て、なるべく生活のリズムが伝わらないように注意するのが効果的です。GW中の不在時も、タイマーで電気を点けて在宅しているように見せたり、テレビやラジオなどのタイマーをセットしておいたり、人がいるように見せかけるのが効果的でしょう。特にラジオは消費電力も少なく、人の話し声が聞こえると、在宅者がいるように思われるので有効です」
2. どの窓にも補助錠をつけておく
人の頭が入る大きさの窓であれば、どの窓にも必ず補助錠をかけましょう。「補助錠は多ければ多いほど侵入に時間がかかり、空き巣が諦める材料のひとつになります。小さい窓だから、人通りが多い道路に面しているからと思わず、どの窓にもかけておくのが安心です。また、100円ショップでも売っている“セキュリティシステム作動中”などと書かれたステッカーを玄関に貼っておくのもよいでしょう」
3. 割りにくい窓にしておく
侵入者が窓を割って鍵を開けて入ってくることを想定し、窓が割られにくいように対策をしておきましょう。「窓をバールでこじ開けて入ってくるケースが多いので、窓に飛散防止フィルムを貼ったり、格子窓にしたりと、簡単に侵入できないようにしておくのがよいでしょう。賃貸物件で格子をつけるにはビス穴を開けなければなりませんから、不動産業者やオーナーに防犯面での不安なことがあれば迷わず相談することをお勧めします」
4. 玄関をセンサーライトにする
玄関や窓から侵入を試みる犯罪者は、少なくとも作業のため数分はその場に留まります。玄関や窓に立ち止まれないよう、人感センサーのライトを点けておきましょう。「人を感知するとライトが点くだけでなく、一定時間留まっている人がいるとブザーが鳴ったり、ライトが点滅に変わったりするものも販売しています。点灯時間を設定できるものなどもありますから、不在時にも有効と言えるでしょう」
5. 新聞や宅配は止めてから留守にする
今回の大型連休は10日間と長い休みになるため、新聞や不在通知が溜まっている様子がポストの外からでもわかってしまう可能性があります。「新聞は必ず止め、宅配についてはその期間に届かないように注意するなどの対策をします。ポストは個人情報の宝庫ですから、誰もが簡単に開けられるようではいけません。郵便物は必ず鍵付きのポストに届くようにし、ダイアルロック式であれば暗証番号が悟られないよう注意しましょう」
6. 外から部屋の中の様子がわからないようにする
不在にするときは、外から部屋の中を覗けないよう注意することが大切です。「人がいるかいないかもそうですが、間取りやどんな家具があるか知らせるのは、空き巣の仕事がうまくいくよう手伝っているようなものです。不在時はレースのカーテンをひくか、ミラーカーテンのような中が透けて見えないカーテンをひいておくのをおすすめします。お風呂やトイレの空気窓も、外から中が見えないようになっているか確認しておきましょう」
7. 防犯カメラや防犯砂利などのグッズを多用する
常日頃から防犯を意識している家は、防犯していない家よりも当然侵入しづらいといえます。ですから外から見て、防犯対策をしているとわかることも重要です。「防犯カメラや防犯砂利などは、わかりやすい防犯対策といえますから、防犯に気にかけていますよという合図の意味もこめて、揃えておくのがよいでしょう。カメラは、侵入させにくいというよりも侵入されたあとに犯人の特定につながったり、室内にも設置すれば何が持ち出されたのかわかったりというメリットがあります」
8. 盗まれて困るものは自宅に置かない
仮に侵入されてしまっても、そこに盗まれるものがなければ被害は少なく済みます。「形見の宝石や二度と手に入らない貴重なもの、重要な書類などは家には置かず、銀行の貸金庫に預けるのも一案です。侵入されること自体精神的な負担ですから、侵入防止対策に力を入れるのはもちろんですが、万一の侵入に備えて大事なものは、プロに守ってもらうつもりで預けておくと、より安心ですね」
9. 近隣の人に声をかけて協力し合う
近隣の人と情報を共有し合い、地域で防犯対策に努めるのも大きな効果があります。「留守中に不審な人を見かけたらすぐ知らせてくださいと声をかけたり、マンションのパトロールを交代でしたりと、人と人が協力し合って防犯意識を高めていくのがよいでしょう。その際、工事や見積もりなどを装った侵入者にも気づいてもらえるよう、そういう予定がないことも合わせて伝えます」
防犯対策は、これをすればいいというものではなく、常に危機意識を持って危険がないよう対策していくことが大切です。せっかくの楽しい連休ですから、空き巣の被害がないよう入念な防犯対策をして外出しましょう。
profile
危機管理アドバイザー / 国崎信江
危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。地震調査研究推進本部政策委員会などの国や自治体の防災関連の委員を務める。
http://www.kunizakinobue.com/
取材・文=吉川愛歩 構成=Neem Tree
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