今年、2019年は北アメリカに黒人が初めて連行されてからちょうど400年目の年であることをご存じでしょうか?
この記念すべき年に、アメリカを代表する3大ミス・コンテストのすべてを黒人女性が制覇するという歴史的快挙が達成され、大きな話題になりました。
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ミスコンの歴史が変わった
アメリカの3大ミス・コンテストとは、ミスUSA、ミス・ティーンUSA、ミス・アメリカの三つ。このうちでいちばん歴史が古いのはミス・アメリカで、第一次世界大戦が終わった3年後の1921年に始まってから98年間続いているわけですが、このミスコンが始まった頃の出場資格には『健康で、白人種であること』という項目があったのです。
3大ミス・コンテストに黒人女性の姿が目立つようになってきたのは、ここ50年ほどのこと。そして初めて黒人女性がミス・アメリカで優勝を飾ったのはコンテスト開催から62年後の1983年で、受賞したのは歌手で女優のバネッサ・ウィリアムスさんでした。
こういう時代背景を知ると、今年のアメリカの3大ミスコンを黒人女性が独占受賞したことがどんなに意義のある、歴史をも変える瞬間だったかということを理解していただけるかと思います。
この三人の受賞者たちは、その輝かしく美しい姿はもちろんのことながら、それぞれ素晴らしいキャリアを持っているのも特徴的です。
今年5月にミスUSAの栄冠に輝いた28歳のチェスリー・クリストさんはノース・カロライナ州出身の弁護士。不当な量刑判決にさらされてしまった受刑者たちの減刑の実現に向けて活動しています。働く女性のために、職場でのファッションアドバイス・サイトも主宰しています。
4月にミス・ティーンUSAに選ばれたのはコネチカット州出身のケイリー・ギャリスさん。18歳の彼女は黒人女性の多くが行う髪のストレート化をしない自然なままの“ナチュラル・ヘア”にこだわり、その自然な髪型で優勝したことが大きな話題になりました。(アメリカでは黒人の縮れた髪より矯正したストレートな髪のほうがよしとされる風潮があるので、これはとても画期的なことなのです)高校と演劇学校の両方に通いながら障害者支援団体を設立し、子どもの野外活動支援のボランティアなどの活躍もしています。
そして昨年の9月にミス・アメリカに輝いたのはノース・カロライナ州出身で25歳のニア・フランクリンさんです。大学、大学院で音楽と作曲を専攻し、オペラ・シンガー兼作曲家のニアさんは、現在ニューヨークのリンカーン・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツの特別研究員です。
5月7日のCBS放送の『This Morning』に3人の優勝者が揃って出演したとき、ミス・アメリカのニア・フランクリンさんは、黒人女性が3大ミス・コンテストを史上初めて全制覇するという歴史的快挙について「象徴的な結果だと思います。人はなりたいものになれる、というメッセージを発信し、多様性も示すことができたのではないでしょうか。」と語りました。
トップの画像のクレジット©www.missamerica.org
文/田中史子、ホリ・コミュニケーション