もう、ずいぶん前のお話です。
親しい友人2人と、「今、好きなことって何?」という話になりました。
そして、あれが好き、これが好きというふうに話が弾んでいたのですが、そのなかのひとりが「じつは…」と口火を切って――。
Contents 目次
ようこそ、あなたの世界へ
親しい友人2人と「今、好きなことって何?」という話をしていたときのこと。
ひとりが突然、
「今、じつは、彫刻の先生について、彫刻を教えてもらっているんだ」
と言ったのです。そんな気配がまったくなかったのでびっくり!
そしてフタを開けてみると、その時期、もうひとりの友人も粘土細工の先生について、レッスンを受けていたことが判明したのです。
ひとりは彫刻(今は仏師として生計を立てています)、もうひとりは粘土細工(今は生け花の先生をしています)、そして、私は当時、油絵のレッスンを受けていました。
するとひとりの友人が言いました。
「それぞれのタイプが出ているよね」と。
それぞれ、「らしいよね」と。
彫刻は彫刻刀を使い、すでにあるものをそぎ落とし、作品を作っていきます。その友人は自分のことを常にシンプルにしていきたいと願う人です。
粘土細工は、少しずつつけ足しながら、ひとつの形を生み出していきます。その友人は知識や情報を得て、自分の栄養にしていきたいと願う人です。
そして、油絵は重ねた上からまた色を重ねることで、やり直しがききます(笑)。しかも、先に塗った色の上に、今思い浮かんだ色を重ねると、自分でも想像できなかった色が生まれる。油絵はそんなところが好きです。そして、何より三人三様、それぞれその作業が苦痛ではなく、喜びになっていました。
好きなことに没頭すると
意外な自分との出会いが
好きなことに没頭すること、また物を作り上げていくクリエイティブな作業は、結果的に自分を内観することにつながっていきます。まだ生み出されていないものを、自分のなかで「ああでもない、こうでもない」と形作っていく作業だからです。
自問自答も多く、多かれ少なかれ葛藤も生まれますが、とても夢中になれる作業です。まさに、自分との対話のくり返しというわけです。
この地球は生み出すための星。ある意味、創造するということは、この地球と自分をしっかりとつなげるためのレッスンなのかもしれません。
今、あなたは何をしているときに夢中になりますか?
またそのことに、喜びを感じますか?
芸術の秋、今自分が夢中になれることに目を向けてみると、意外な、また新たな自分との出会いがあるかもしれません。