男女の役割分担は時代とともに大きく変わっています。結婚しても、男性も働き、女性も働く、家事も男女ともに関わるというのは当たり前になってきています。スイスの研究グループは、そうした現代的な男女平等の働き方は、親の幸せにつながっていると報告しました。
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男女平等の働き方で人はどう変わる?
総務省の統計によると、日本では2000年ごろにいわゆる専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転。2018年には共働き世帯が1428万世帯、専業主婦世帯が638万世帯となり、2倍を超える差をつけるまでに共働きが当たり前になっています。そうした背景から、家族の役割は変わり、父親が働いて、母親が子どもの世話といった画一的なスタイルではなくなってきています。子どもを産んだから女性は仕事を辞めるという考え方はフェードアウト。イクメンという言葉を出すまでもなく、父親も子育てを積極的に行うようになっています。
スイスの研究グループは、こうした変化が男女にどのような影響を与えているかを研究しました。果たして幸福感は増しているのか、あるいは逆にストレスが募ってしまっているのか。ドイツで1985年から2015年にかけて行われた、1万8000人の女性、1万2000人の男性の調査データを集めて調べました。
ストレスが減ってハッピーに
判明したのは、男女ともに親になった人の幸福度が高まるという結果です。1980年代には、子どもをもたない女性と比べると、母親となった女性の幸福度は低くなっていました。それが現代では、子どものあるなしによって幸福度に差がつかなくなったのです。
男性でも変化は起きました。かつては子育てへの協力はあまり求められず、育休や仕事を減らす必要もほとんどなかったのですが、子育てでも役割が求められるように。こうした変化に伴って男性の幸福度は女性ほど変わらなかったものの、子どものあるなしで幸福度に差はありませんでした。
研究グループは、家族のなかの役割を自由に決めることができるようになり、責任を分かち合えるようになったことが重要と説明。こうしたことから幸福感が高まっているとみています。
ドイツと置かれた状況は若干違うのかもしれませんが、働き方改革が本格的に進められる日本も、同じような幸福感の高まりは起きているのかもしれません。
<参考文献>
総務省「労働力調査(詳細集計)」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/qa/a07.html
Modern Family Roles Improve Life Satisfaction for Parents
https://www.media.uzh.ch/en/Press-Releases/2019/Parent-Life-Satisfaction.html
Closing the Happiness Gap: The Decline of Gendered Parenthood Norms and the Increase in Parental Life Satisfaction
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0891243219869365