筆者が住む、アメリカ・シカゴ郊外にヨーロッパ系のベーカリーが続々オープンしています。今までのアメリカのケーキとは正反対で、小さくてかわいいケーキはどれも美しくておいしく、まるでアートのようです。
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アメリカのケーキの概念を覆すヨーロピアンケーキ
ひと言でアメリカのケーキを表すとすれば…“甘い”“フードカラー使い過ぎ”などがピッタリな表現かと、みなさんのイメージもそうなのではないでしょうか。一般的なアメリカのケーキのお話ですが、本当に甘い!たっぷり塗られているクリームはどれも甘ったるくて、単調な味に感じるのは、日本のケーキの味に慣れているから? それにデコレーションもアメリカって独特です。カラフルなクリームやマジパンを使って派手に飾っているのが主流です。子どものお誕生日会に使うケーキは典型的で派手な色使いに、飾りなどのデコレーションは目立って当然!と言うタイプが主流です。が、ここに来てオープンしているケーキ屋さんは、ヨーロッパ系でミニサイズのケーキを売りにしているお店が増えていて、日本人はもちろん、地元のアメリカ人にも人気です。ショーケースに並ぶ何種類ものミニサイズのケーキは、食後にピッタリのサイズ。コーヒーや紅茶と一緒にいただくにはちょうどよい大きさで、見た目もおいしそうなのは勿論、どれも繊細な作りで、とってもキレイ。おシャレな女性、マダム、カップルたちがミニケーキを楽しんでいます。
居心地のよい店内で食べる至福の時間
そんなミニケーキを提供してくれるベーカリーは、イートインが可能で、店内もなかなか居心地がよく、センスが素敵なお店が多いのです。おいしいケーキを食べるには雰囲気がいいお店がいいに決まってる! 筆者がおすすめするお店のひとつは、こじんまりとした店内ではありますがシャンデリアが3つも吊り下がり、壁には鏡が敷き詰められ、白を基調とした店内は、まさにヨーロピアンの豪華さそのもの。こんなにも素敵な空間の中でおいしいケーキが食べられて最高です。そしてもうひとつのお店は同じヨーロッパ系でも少しアメリカナイズされたようなカジュアルな店内。壁には何枚もの絵が飾られ、気に入ったものがあればその場で購入もでき、店内のデコレーションにひと役かっています。赤や、茶、白などの色使いはアメリカンのようであってどこか違う国のようでもあり落ち着きます。どちらのお店も平日はランチ後のティータイムから混み出し、週末は朝からコーヒーとミニケーキを求めてにぎわっています。
こんなにも愛おしく、おいしそうなミニケーキ
そんなヨーロッパ系のミニケーキ、アメリカでも人気があるのは一体どんなケーキなの? ショーケースに並ぶかわいいミニサイズのケーキは量で勝負とは真逆の質、美しさ、そしておいしさで勝負しているようです。食べる前の見た目が大事とあって、手の込んだものからシンプルで鮮麗さを出しているものなど、どれも素敵です。味は濃厚かつ上品で深味のある甘さに、クリームの絹のような口溶け、そして一緒に飲む紅茶やコーヒーは風味があり、ミニケーキにマッチしています。アメリカにある今までのベーカリーに並ぶケーキは少し重ためのスポンジに、昔懐かしい甘さのバタークリームや雑なホイップクリームなどでした。サイズ的にも高級感を感じるミニケーキが手軽に買えるようになり、いろいろな種類を試したり、訪問時のお土産にしたり、お値段もお手頃なのに本格的な味が楽しめ便利です。オーガニック商品を取り扱うことで有名なアメリカの高級食材スーパーのWhole Foodsでもセルフサービスで好きなミニケーキを箱に詰めて購入できるコーナーが人気で、これからもまだまだアメリカのミニケーキが話題となりそうです。
写真・文/脇方真由美、ホリ・コミュニケーション