年末年始に海外旅行に出かける予定はありますか? 旅先や出張先では疲れやだるさ、心身の不調など“時差ボケ”がつきまとうもの。しかし、戻そうと思っても体内リズムは1日1時間ほどしかずらせないのです。海外での滞在を満喫できるよう、時差ボケ対策はしっかりしたいですね。今回は『目覚め方改革プロジェクト』が発信する「目覚めスッキリコラム」の内容より、国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部 臨床病態生理研究室室長の北村真吾先生が教える時差ボケの対策法について紹介します。
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体内リズムは1日1時間しかずらせない
せっかく海外に行ったのに、時差ボケで思うように楽しめなかったり、帰国後に疲労感が続いてしまうようではもったいないですよね。不眠や倦怠感、疲労感、胃腸障害や排せつリズムの乱れが主な時差ボケの症状ですが、時差ボケが起こるのはふだん意識しない体内リズムがちゃんと働いている証拠でもあります。
「時差ボケは体に備わった体内時計と時計の時間がずれ、体内リズムが乱れることで起こります。しかし体内リズムは、ずらそうと思ってもせいぜい1日に1時間程度しかずらせません。旅先の方角にもよりますが、3時間の時差だと体内リズムを戻すのに3日、9時間だと9日もかかるのです」(北村先生)
帰国後に体がつらいと感じるのは体内リズムが乱れているから。海外から帰ってきたら、体内リズムが戻るまでしばらくかかると覚えておきましょう。
西側に行くほうが体内リズムを調整しやすい
時差が3時間以上あると心身に影響してきます。体内リズムは前倒しするより、うしろ倒しにして夜型にずらすほうが負担は軽いといえます。
「西側へ移動するか、東側へ移動するかによっても体への負担は変わります。たとえば西側に行くほど時間をさかのぼるため。時計の時間は戻り1日が長くなります。そのため体内リズムを夜型にずらす必要があります。
一方、東側に行く場合は、時計の時間が進み1日が短くなるため、体内リズムを朝型にずらす必要が。そのため東側に行くほうが体はつらくなり、西側に行くほうが、体内リズムが乱れても適応しやすいといわれています」(北村先生)
西側への移動は東京からロンドン、東側への移動は東京からロサンゼルスといったイメージです。
旅先では「光」で体内リズムの調整を
体内リズムを滞在先に合わせるか、日本のままでいるかは日数によっても違ってきます。
「2~3日程度の短い海外滞在ならば、あえて日本時間のままの腕時計を持っていき、日本の朝に当たる時間に旅先で太陽が出て入れば、積極的に外に出て浴びましょう。反対に、夜の時間帯に光を浴びることは避けるのがベストです。
1週間以上の長期滞在は、少し眠くても早起きして旅先の朝の光を浴び、なるべく早く現地時間に体内リズムを合わせましょう。体がつらいときは、昼寝をはさんだり、カフェインで眠気を晴らしたりするのも効果的です。また、東側に行くときは1週間ほど前から数時間ずつ寝る時間と起きる時間を早めて、旅行前に体内リズムをずらして準備しておくことも有効です」(北村先生)
体内リズムを整えるポイントは光。目から入った光の刺激により体内リズムが同調します。しっかり時差ボケ対策をして、海外旅行を楽しんでくださいね!
情報提供:目覚め方改革プロジェクト
文/庄司真紀