ダイエットや健康への関心は男女ともに高まる一方。でも男性向けの美容、ダイエット、フィットネスの情報は女性ほどではないかもしれません。パートナーの健康はやはり気になりますが、どんなことに気をつければよいのでしょう。カナダの研究グループは、男性の健康を促すためのコツについて報告しています。
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男性は悩みを相談するのに消極的!?
日本の平均寿命は女性87.32歳、男性81.25歳。男女ともに伸びていますが、男性は女性よりおよそ6年短くなっています。男性のほうががんになる人が多いなど、喫煙をはじめ生活習慣の影響があるものと見られます。
女性に乳がんの啓発活動である「ピンクリボン」があるように、男性でも11月に「Movember(モーベンバー)」と呼ばれる、口ひげを伸ばして、がんやうつ病の啓発活動が広がりを見せています。オーストラリアでスタートして、今では世界中で行われていますが、その背景には、「男性がそもそも病気の悩みを人に相談するのに消極的で、病気に対する知識が少ない」という問題があるようです。
このたびカナダのブリティッシュコロンビア大学の研究グループは、男性の健康を守るためのプログラムに注目。成功するプログラムの要素について調べました。
男性も気軽に参加しやすいプログラムづくり
わかったのは、次のような8つの視点が重要だということです。
1.男性の健康に影響する要素を意識すること
2.運動によって人間関係をつくること
3.心をひらける場をつくること
4.知識の提供により正しい健康意識をもってもらうこと
5.リラックスできる環境をつくること
6.具体的な目標を設定すること
7.プログラムの質を向上するための評価
8.「期間限定」でもOK
それぞれいわれてみれば当たり前かもしれませんが、男性をもっと健康にしたいと思ったときにはこの8項目を意識すると、うまく事が運ぶ可能性があるようです。
研究グループによると、男性をもっと健康的な取り組みにうまく導くためには、たとえば、男性の社会的な地位や関心事などを意識するとよいとのこと。実際に、そのような点からサークルなどが円滑に運営されている事例もあるそう。また運動への参加を促すには”男らしさ”を強調する活動も大切といいます。問題を解決する腕前などを競ってもらうといった工夫が有効になる可能性もあるようです。
このほか女性にも共通していると思いますが、「前立腺がんサポートグループ」のような、同じ悩みを共有し、繊細なテーマを相談し合えるプログラムが成功しているといいます。研究グループはうつ病などについて「知識不足が問題」と強調。正しい医学知識をわかりやすく伝える大切さについても説明しています。
さらに、男性の健康に関するプログラムは公共の医療機関で行うよりも、サッカーの試合など男性が多く集まりやすいスポーツのイベントのほうがより広めやすいそうです。
ほかにも、具体的な目標を設定したり、きちんと評価したりするのは、一般的なプロジェクトを成功させる工夫とも共通しているのかもしれません。
また、研究グループは「すべてのプログラムを定着・拡大させる必要はない」と指摘。期間限定でも問題ないと説明しています。健康意識が高められれば、成功と呼べるというのです。
こうした観点は、日本でも参考になりそうです。身近なパートナーなどを健康の取り組みに導くとき、ちょっと知っておくとよいかもしれません。
<参考文献>
Eight tips for promoting men’s health
https://news.ubc.ca/2019/11/07/eight-tips-for-promoting-mens-health/