ペットが家族の一員のように見なされるのが当たり前になりました。飼い主にとっては心の支えにも。さらに、犬を飼っているならば、散歩をすることで、体を動かす機会が増えたり、さまざまな人とのコミュニケーションのきっかけになったりして、本当に心身の健康につながるようなのです。このたび、スウェーデンの研究グループが、犬を飼っていると寿命が延びる効果もあるとの研究結果をまとめました。
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スウェーデン人340万人の記録を調査
スウェーデン・ウプサラ大学の研究グループが注目したのは、犬を飼うことで、飼い主の健康がどのような影響を受けるのかについて。ペットを飼うと、フィットネスやダイエットにとって大切な運動をする機会を増やせるほか、ストレスをやわらげることが可能になるとされますが、それが統計的にもいえるのかを分析したのです。
調査の対象となったのは、スウェーデン人340万人の医療記録(40~85歳)です。2001年から2002年までのデータから、犬を飼っている人とそうではない人を特定。急性心筋梗塞(18万人)と虚血性脳卒中(15万人)の記録のほか、入院後の死亡率や再入院率の記録を基に、ペットを飼うことが与える影響を調べました。なお、調査対象者のうち犬を飼っていた人の割合は13%でした。
寿命を延ばす効果を確認
分析の結果、明らかになったのは、ペットを飼うことが、飼い主の寿命を延ばす効果があるということです。今回使ったデータは医療記録であるため、一度病気になった人についての結果を導き出しています。
まず、急性心筋梗塞で入院した人の場合、犬を飼っている人のほうが飼っていない人より死亡率が低下。ひとり暮らしの人の死亡率は33%、家族と同居している人では15%それぞれ低くなっていました。
さらに虚血性脳卒中で入院した人でも同様の傾向が見られ、ひとり暮らしの人では27%、家族と同居している人では12%低下していました。
因果関係については不明点もありますが、研究グループはペットを飼うことの健康へのメリットがデータで示されたと結論づけています。
<参考文献>
Dog Ownership and Survival After a Major Cardiovascular Event
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31592725
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCOUTCOMES.118.005342