日本ではまだあまり聞きなじみのないスパイス「ザータル」。中東でよく使われるスパイスですが、ニューヨークやパリの専門店や、デパートのスパイスコーナーではすでに注目のアイテム、ベジタリアンやビーガン、そして感度の高い人たちの間では定番のスパイスです。どんな風に食べるとおすすめなのか、レポートします。
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中東では定番のスパイスは、なんともハマる味!
中東で旅行客が最初にザータルに遭遇するのは、おそらくホテルの朝食ブッフェのクロワッサンでしょう。いつものクロワッサンだと思って口にすると、食べなれないエキゾチックな味が口いっぱいに広がります。まさに遠く中東の異国に来たことを実感する瞬間と言えます。
ザータルは野生のハーブ、タイムを乾燥させたものが主な原料。現地ではそれだけで「ザータル」と呼ぶこともあれば、タイムの葉にゴマやスマックと呼ばれる赤い実を細かく挽いた酸味のあるスパイスを混ぜたものをザータルと称することもあってそれぞれ、比較的自由です。ちなみにアラビア語でザータルはタイム、の意味です。
気になる味はというと、タイムのさわやかでピリッとした風味が主流。これにゴマの香りとほんの少しの酸味が加わった、フレッシュな味わいです。中東だけでなく地中海沿岸の欧州料理でもよく使われるハーブのテイストなので、ヨーロッパのハーブ好きなら間違いなくハマる味!
中東でザータルはさまざまな料理のアクセントに用いられています。最も身近にあるのが、パン。ザータルにオリーブオイルをミックスしたものを塗って焼き上げる平たいパンが人気です。路上で販売しているパンにもトッピングとしてザータルをさっと紙にくるんでつけてくれるので、パンを割って中のふわふわの部分に好きな分量を振りかけて食べます。
そしてシリアやレバノン料理の前菜「シャンクリーシュ」は、丸めて乾燥させたゴルフボールほどのチーズにザータルをまぶし、オリーブオイルに漬け込んだもの。熟成されたチーズを周りのザータルと一緒にほぐしてぼろぼろにし、パセリ、刻んだ生のトマトと玉ねぎを混ぜてサラダにします。塩気が強いのでピタパンと一緒に食べるととてもおいしく、お酒のおつまみにもぴったりです。ザータルはそのほかにも鶏肉にまぶしてグリルしたり、野菜のローストに振りかけたり、サラダのアクセントにと現地ではとても万能なスパイスです。
ザータルのブレンドにはゴマやシソに似た酸っぱいスマックが入っているので「もしかするとご飯のふりかけになる?」という予感もありますが、オリーブオルとブレンドしてまずはパンに浸して食べたり、サラダにふりかけてみるのがいいと思います。
日本でもブームの予感がする中東のスパイス、誰よりも早く試してみませんか。
文/伊勢本ゆかり
写真/トップのキュウリとトマトの画像 © 2019 The Mediterranean Dish. An Elite CafeMedia Food Publisher
ザータルミックス ©Bonapetite
ザータルをまぶして熟成させるチーズ「シャンクリーシュ」 © Joumana Accad, Taste of Beirut
ザータルとオリーブオイルパン © 2019 The Mediterranean Dish. An Elite CafeMedia Food Publisher