家族に続けて男の子が生まれたり、逆に女の子が生まれてきたり。偶然とは思えないほど、同じ性別の子が生まれてくるというのはよくあること。そこには何か理由はあるのでしょうか。このたび海外の研究グループが、生まれてくる子どもの性別を決める秘密は、お父さんの遺伝子にあるようだと報告しました。お父さんによって決まる部分が大きい可能性があるようなのです。
Contents 目次
生まれてくる子どもの性別はどう決まる?
厚生労働省がまとめた人口動態統計によると、日本で毎年生まれてくる男女の比率は男の子のほうが若干多い傾向に。たとえば、2018年は男の子が47万851人誕生したのに対して、女の子は44万7549人となり、男の子のほうが2万人強多くなっています。とはいえ、比率でいえば男の子が51%となり、過度な偏りがあるわけではありません。本当に男の子が生まれやすい家系、女の子が生まれやすい家系などがあり得るのでしょうか。
このたび英国の研究グループが1600年までさかのぼり、55万人を超える人々の情報を含む家系図を分析。家族から男女がどのような割合で生まれているかを調べました。
何らかの遺伝子が関係している可能性
分析の結果としてわかったのは、男きょうだいが多い男性は息子をもつことが多く、女きょうだいが多い男性は娘をもつことが多い傾向があることでした。つまり、男の子が生まれやすいお父さんと、女の子が生まれやすいお父さんがいると考えられたのです。一方、お母さんを見ると、男の子が生まれやすい、女の子が生まれやすいといった差は見られないと考えられました。
子どもの性別は、男性の精子に運ばれる「X」または「Y」の染色体の種類によって決まることがよく知られています。研究グループは、何らかの遺伝子が関係してX染色体を多くもつ男性、Y染色体を多くもつ男性、いずれも同じくらいもつ男性と、大きく3タイプに分かれているようだという結果を導き出しました。その関係する遺伝子を突き止めるまでには至らないものの、男の子の生まれやすさ、女の子の生まれやすさには、何らかのメカニズムが関係している可能性がありそうです。
昔は「男腹」「女腹」と母親によって子どもの性別が影響されるという考えがいわれたこともありましたが、今回の研究結果からいえるのは、主に関係するのは男性だということのようです。
<参考文献>
Boy or girl? It’s in the father’s genes
https://www.ncl.ac.uk/press/articles/archive/2015/08/boyorgirlitsinthefathersgenes.html
Trends in Population Sex Ratios May be Explained by Changes in the Frequencies of Polymorphic Alleles of a Sex Ratio Gene
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11692-008-9046-3